忘れられなかった元彼と再会して、必死に閉じていた蓋が開けられる夜
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忘れられなかった元彼と再会して、必死に閉じていた蓋が開けられる夜 (ページ 1)
「はぁ…全くなんで今更ごねるのよ…」
私は小春。
ため息をついてしまったのは、彼氏と別れて早く家から追い出すつもりだったのだが、ごねられて私が家から放り出されてしまったから。
幸い、通帳印鑑や財布携帯は普段持ち歩いていたから、今日はネットカフェにでも泊まろうと繁華街を歩いている。
「あれっ、小春じゃね?」
「おっ、マジじゃん!おーい!小春!」
「えっ、って何でここに?」
そこには高校、大学と仲の良かった友達が6人。
「俺らは旅行。東京には小春がいるし会えねーかなって皆で話してたんだよ!そしたら目の前通るからビビった!」
「小春〜!元気だった!?久しぶり〜!」
相変わらず仲がいい。
友人の一人が横にいる男を小突く。
「おいっ、翔よかったな!」
「うっせ!…って、小春はこんな時間に何でひとりで出歩いてんだ?」
「あ…えーと。ネカフェ探し?」
回答に困っていると、何かを察した友人たちが私の腕をホールドし歩き出す。
「よーし!とにかく寒いからカラオケにでも入って騒ぎながら話そー!」
「えっ、ええっ!?」
*****
「…そっか、彼氏が別れ話ごねて籠城なぁ…」
「えーっ!ひどくない!?だって小春のアパートじゃん!転がり込んできて他に女も作ったくせにごねる!?」
考え込んだり怒ったり…友人たちを見ていて、ひとりじゃないこの時間に安堵する。
「…でも、あたしちゃんと好きになって付き合ったわけじゃなかったからそこまで落ち込んでないよ。今は多少困ってはいるけど」
そう。向こうのアプローチで付き合いは承諾したけど、結局恋愛での好きには至れなかったのだ。
「アパートもあたし名義だけど、幸いお金は隠し口座もあるしとっとと解約して新しいとこに引っ越すよ」
それがいい、と激しく頷く友人たち。
「おいっ!チャンスだぞ翔!なー!小春!翔はお前のことが忘れられないってさっきも嘆いてたんだぜ!?」
「!?ちょっ、お前言うなよ!」
…私は何と返せばいいか分からなくなってしまった。
実は、翔は高校の途中から大学まで付き合っていた元彼。
翔のことは今の彼とは違い本当に好きだった。
就職で離れる時にお別れをしたのだけど。
「えーと…明日も仕事だし、わたしネカフェ行くね。これお金」
気まずくて、友人たちの止める声も聞こえないふりをして、私は友人たちの元を後にした。
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