バレンタインの夜。清楚な彼女がセクシーランジェリーで俺をあま~く誘惑
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バレンタインの夜。清楚な彼女がセクシーランジェリーで俺をあま~く誘惑 (ページ 1)
(ヤバイヤバイヤバイ…)
心が焦るままに、足を忙しなく動かす。
街は数十年に一度という寒波に晒されていて、口から吐き出す息は白い。けれど走り続けた熱で、肌は僅かに汗ばんでいた。
普段、後輩に「会社に住んでるんですか?」とイジられる俺だが、今日ばかりは怒涛の勢いで定時きっちりに仕事を終わらせた。
何か話しかけたそうな雰囲気を醸し出す上司の前を、「先に失礼します!」と叫んで駆け抜ける。そんな俺に、会社の出口でまさかのトラップが待ち受けていた。
今年度に入社したばかりの女性社員が、自動ドアのサッシ部分にマフラーを巻き込まれて動けなくなっていた。
定時ちょうどで飛び出してきた俺の他、その女性社員以外に人影はない。
まさか彼女を見捨てて他のドアから出て行くという選択はできず、俺は仕方なく自動ドアの間に跪いたのだ。
おそらく三分程の時間だったと思うが、俺にはもっと長く感じた。
無事に自動ドアから解放されたマフラーを胸に抱きしめ、女性社員は何度も俺に頭を下げた。
「全然大丈夫だから。じゃ、俺、急いでるんで…」
「あの、これ! 貰って下さい! お礼です」
女性社員が自分の鞄の中から紙袋を取り出し、俺の胸に押し付ける。いらないと遠慮する時間も惜しかった俺は、「ありがとう!」と受け取ってそのまま走り出してしまった。
*****
街は雪がちらつき出していた。
(ホワイトバレンタインとはおしゃれだな…)
浮かれ切った俺は、そんな感想を抱く。
今日は二月十四日。最愛の恋人である菜々子と迎える初めてのバレンタインデーだ。
ちらりと時計を見る。約束の時間を二分過ぎていた。
愛しい人を待つ時間も幸せだとのんびり構えていた俺は、三十分が過ぎることで、ようやく違和感を抱き始める。
(もしかして急に来られなくなったとか…?)
しまっているスマホを取り出そうと鞄に手を突っ込む。適当に突っ込んだだけだった貰い物の紙袋が、俺の手に当たって外へ転がり出た。
(いけね)
拾おうとして下を向く。俺が拾うよりも先に、誰かがそれを拾う。手袋をしていたけれどその手が誰のものか、俺が間違えるはずもなかった。
「菜々子!」
「バレンタイン。貰ったんだ…」
「違っ、これはたまたま…」
「別に隠さないでいいよ。創生くん、モテるもんね」
菜々子の声がいつもよりも固い。これは絶対に誤解している。
俺は背中に嫌な汗が流れるのを感じた。後ろめたいことなんて何もないのに。実際、社内で渡されそうになったチョコレート類は、義理も含めて全部断っている。
「そのブランドって××でしか買えないんだよ。創生くんの為にわざわざ買いに行ったんじゃない? 愛されてるね」
「だから違うって!」
菜々子も手から紙袋を奪い取る。頑なに目を合わせようとしないのを、その華奢な顎を掴んで強引にこちらを向かせた。
奇麗なヘーゼル色の菜々子の目に、明らかに焦っている俺の顔が映っている。
「これはただのお礼で…! ああ、もういい!」
事情を説明しようとしたけれど、この空気ではすべてがうさん臭く聞こえる気がした。
俺は菜々子の細い手首を掴んで、強引に引っ張った。
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