彼の死から二年。ずっとそばで支えてくれていた眼鏡男子が、突然私の手首の自由を奪ってきた。 (ページ 5)

後からあとから、声が止まらない。私はとうとう、本当になにも考えられなくなってしまった。

青井も言葉少なになり、私の片足を抱きながら、腰をふり、めちゃくちゃに胸をかきなでてきた。

「はっ、あぁん……あぁっ! んんんぅ!」

青井の動きはどんどん激しさを増していった。じゅくじゅくとナカをかきまぜられていたかと思うと、一気に引き抜き、ずしんと奥まで一気に突き刺してくる。

「だめ!!! それ、い、っちゃう」

酸欠の金魚のように口をぱくぱくする。松葉崩し、というもののせいで、青井の体が遠くなってしまい、淋しくて手をのばす。

「おなかに出すよ」

青井が、ぎゅっと私の手を握って言った。

「ん、ん」 何度もうなずく。

青井がこれまでで一番激しいピストンをした。ぎちぎちとベッドがきしみ、のけぞった私は声が止まらず、青井の手を強く強くつかんだ。あたたかく、力づよく、やさしい手を……

「いく……いっちゃう、青井、青井っ、青井は?」

「ちゃんとおまえと一緒にいくよ」

「はぁっ」

一緒、という言葉が胸に突き刺さった。

私たちは、お互い「大切な人」を亡くした。

一緒に病院にかけつけ、一緒にその人の最期を看取り、一緒に葬儀に出て、一緒に骨を拾った。それからも、ずっと、一緒だった。

「一緒だね、青井。私たち、一緒だね……」

ううん。一緒どころか、いつも支えてもらってばかりで判らなかったけど、青井の悲しみは、私よりもさらに深かったかも知れない。

「んっ、あぁっ、青井」

涙で青井がぼやけてしまうと、青井が密着した正常位に戻った。思い切りしがみつくと、深く深くをさしたまま、骨がきしむほど抱きしめられた。

「いっ……あぁ、いく…いく、いくぅぅぅ!!」

そして私はとうとう絶頂した。青井はそのタイミングで自身を引き抜くと、私のおなかの上に射精した。

「おまえ、気持ちの整理とか必要ないからな」

まだ眼鏡を外したままの青井は、私のおなかの上の精液をふき取ってくれている。

「俺はこれまで通りでいいから……」

だけど私はもう、ちゃんと自分のきもちを判っていた。青井の荒療治のおかげだ。

「明日一緒に墓参りに行こう。まぁ、俺は今日も行ったけど、改めてあいつに報告したいこともあるし」

青井はそう言うと、ティッシュをゴミ箱に捨てた。

「よし。あとは風呂でちゃんと洗い流せ」

「ありがとう……。それと……青井、いつもそばにいてくれて、ありがとう」

「なんだよ、あらたまって」

「……ねえ、青井?」

「ん?」

――これからもずっと、私と一緒にいてください。

思わず言いそうになる。でも、こんな大事なことは、明日、彼のお墓の前でちゃんと言おう……

「お風呂、一緒に入らない?」

ぜんぶ決心した私は、青井のあたたかい手を握る。

-FIN-

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