BARで出会った美しいお姉さんはハイパーえっちなイケメンお兄さんでした
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BARで出会った美しいお姉さんはハイパーえっちなイケメンお兄さんでした (ページ 1)
夜、BARで一人飲みをするのが好きだ。隣にたまたま座ってきた人と何となく話をするのも好きだしマスターに愚痴を言うのも好き。
今日はとてもお店が空いているようで、カウンターには私しかいない。奥のテーブルに綺麗な女の人が本を読みながら座っているが、まあいい。今日は愚痴の気分だから。これ幸いにとマスターに話しかける。
「マスター聞いてください」
「ハハハ目血走ってるじゃん」
そう笑われるが、その態度は続きを促してくれている。
「あんんんんっのクソデブハゲ上司に今日太もも撫でられるだけじゃなくてお尻触られたんです!!!『ほんとにいい形のヒップだね、安産型かな?』って、もう気持ち悪すぎていつもの苦笑いすら出来ずに全力で逃げたんですけどそしたら馬鹿みたいな量の仕事押し付けられて!!!!」
「うわ、キモ~、それは最悪すぎだわ」
「でしょ!?でしょ!?もうほんと無理~転職しようにも退職届とか受け取って貰えないことで有名だし…こないだも美人な先輩が退職届破られてたし…オワリだ…」
ゴツン!と勢いよくカウンターに頭を突っ伏す。ちょっとおでこ痛かったけどそんなのどうでもいい…
すると、いい匂いがふと鼻をかすめたので顔を上げる。
そこに居たのは、さっき奥で本を読んでた美しい女の人。その人は微笑みながら頬杖をついてこちらを見ている。
「ごめんね、話聞こえちゃった」
一瞬、脳みそがおかしくなったのかと思った。この美しい人から発せられた声はどう聞いても男の人のものだったから。
「あ、ごめんね。驚いた?俺女装家なんだ」
柔らかい、低い声で話すその人はどこからどう見ても女の人だけれど、唯一少しだけ出っ張った喉仏が男性を主張している。
「それにしても、ゴミみたいな会社だね。君みたいな可愛い子に酷いや」
「そ、そうなんです!ほんとに酷くて!もうどうすればいいのか分からなくて。愛想笑いする度に……なんか自分の何かが失われる気がする…」
「転職するにしても、アテとかあるの?」
「あ、それはあります。元々家業を手伝って欲しいとは前から言われてて」
「へー、何してるの?」
「小さな建築会社なんですけど事務員のおばちゃんが今年で定年なんですよね」
「そっか、じゃあ辞めても困らないんだね。…俺、お仕事辞めるの手伝ってあげようか?」
思わず怪訝そうにその人を見てしまう。何を言ってるんだろう。
「俺さー、いわゆる何でも屋さんしてるんだけど」
「何でも屋さん」
「最近仕事全然なくてヒマでさ」
そう言って、美しい男の人は笑った。
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