八年ぶりに再会した塾の先生。大人になった私を見てほしいと、先生を受け入れてしまう私。

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八年ぶりに再会した塾の先生。大人になった私を見てほしいと、先生を受け入れてしまう私。 (ページ 1)

金曜日、珍しく仕事が定時に終わった紗香は、家でゆっくり過ごそうとコンビニに寄った。雑誌コーナーを見ながら、ふと視線を窓の外にやる。

 すると、どこかで見たことのある男性が車から降りてきた。間違いない。紗香が高校時代に通っていた進学塾で想いを寄せていた祥平先生。

 スラっと細身の長身、黒髪の短髪、スーツ姿がとても爽やかで、塾の中でも人気の先生だった。もちろん紗香も先生のファンの一人だった。

 確か彼女がいて、薬指に指輪をはめていた記憶があるから、結婚したかもしれない。そんな記憶が一瞬で蘇る。紗香は無意識にコンビニの外に出ていた。

「先生!祥平先生!」

 思わず名前を呼んだ紗香に、男性が視線を返す。

「先生、私のこと覚えてますか?」

「おー、久しぶり。確か紗香…だよね」

「はい、紗香です」

 紗香は祥平が自分の名前を思い出したことに驚いた。大勢の生徒の中の一人だったし、目立つタイプでもなかったからだ。

「そうそう、紗香だ。すっかり大人になったんだな。髪も短く切って」

「えー、髪型を覚えてくれてるんですか!そうですよ。もう二十五なんです。先生にお世話になってたときから八年?九年?」

「そっか、そりゃ俺がおっさんになるわけだ」

「先生は何も変わってないですよ。今もイケメンだし」

「ははは、社交辞令でも嬉しいよ」

「まだあの塾で教えているんですか?」

「もう塾はやめたんだ。今は真面目にサラリーマンだよ。紗香は?」

「私も真面目にOLしてます。珍しく今日は定時で帰れたんですよ」

「そっか、じゃあ一緒に飯でも行くか?」

「えー、いいんですか!嬉しいです」

 紗香は祥平との再会を素直に喜んでいた。そのときはまだ、このあと男女の関係になるなんて思ってもいなかったのだ。

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