失恋して落ち込んでいる私を優しく慰めてくれたのは、会社の上司でした
キャラクター設定
登場人物をお好きな名前に変更できます。
milkyに掲載の小説は当サイトが契約した作家によるオリジナル作品であり、著作権は当サイトにて保持しています。無断転載、二次利用は固く禁じます。不正な利用が確認された場合、法的措置を取らせていただきます。
失恋して落ち込んでいる私を優しく慰めてくれたのは、会社の上司でした (ページ 1)
20代後半に差し掛かった私は、先日まで付き合った彼氏と結婚まで考えていた。
しかし、そんな彼の浮気現場を目撃してしまい、失恋した。
さらに仕事でも、失恋を引きずっていた私は連日ミスをしてしまい、上司に怒られっぱなしだ。
ある日、ようやく仕事を終え、外に出ると、今度は土砂降り。
天気予報で雨なんて言ってなかったのに…。当然、傘なんて持ってきていない。
目の前で彼氏や旦那さんであろう人に迎えに来てもらっている女性たちを見て、ますます落ち込む。
もういいや、どうせ帰ってシャワー浴びるんだし、歩いて帰ろう。
私は自分が濡れることなんてどうでもよくなり、雨が降り続く中、傘もささずに家までの道のりを急いだ。
*****
「千里?お前、何やってるんだ?」
無心で歩いていると、突然後ろから声をかけられた。
「入りな」
「あっ…、諒さん!」
傘に入れてくれたのは私よりひとまわり年上の上司である諒さんだった。
「こんなに濡れて、なにやってるんだよ!ほら、服もびしょびしょじゃないか!」
諒さんは私の恰好を見て、慌ててジャケットを肩にかけてくれる。
「す、すみません…。傘を忘れちゃって、でも面倒くさくてそのまま歩いてました」
「車で送っていくよ。そこに車止めてあるから、乗って」
「えっ、でも…」
諒さんは歩いている私を見つけてわざわざ車から降りて傘を差しだしてきてくれたのだ。
いつも仕事では厳しい人で、少し怖い人というイメージだったため、緊張してしまう。
「ほら、早く」
私が答える前にせかされ、結局車に乗せてもらうことになった。
車内は温かく、私はほっとしたと同時に、なぜか涙が溢れてきてしまった。
ずずっと鼻水をすすると、諒さんは私が泣いていると気づく。
「ど、どうした?」
「すみません。ひぐっ、うぅぅ…」
私は上手く声が出せず、ずっと泣いていた。
「着替えついでに飯でも一緒に食うか?千里が嫌じゃなかったらだけど」
気を遣って何も聞かずにそんな提案をしてくれた諒さんに甘えたくなり、私は頷いて返事をした。
*****
「服が乾くまでこれ着てな。ご飯作っておくから、先にシャワー使って」
彼の家に着くなりてきぱきと私の着替えを用意して、シャワーまで貸してくれた。
シャワーを浴び終えると、いい匂いがする。
私は諒さんが上司だということも忘れ、作ってもらったご飯を夢中で食べ、仕事のことや別れた彼氏のことを話し続けた。
諒さんは黙って聞いてくれている。
「それで泣いてたのか。仕事に関してはよく頑張ってると思うよ。まぁいつも厳しくしちゃってるんだけどさ」
「失恋したことで頭がいっぱいなんです。職場ではもっと優しくしてくださいよぉ」
私は冗談を言えるまで気持ちが明るくなり、あっという間に時間が過ぎた。
コメント (0)