ひとりえっちばかりの私が、バーテンダーさんにお持ち帰りされちゃう!? (ページ 2)
「わあ、綺麗な色」
「でしょ? 作ってもらったんだ、君のために」
「ありがとうございます…」
思っていたより、いい人なのかも? そう思ってカクテルを飲もうとした時。
「おい、俺は青いカクテルなんて出してないぞ」
さっきのバーテンのお兄さんが私が飲もうとしていたカクテルグラスを取り上げた。
「えっ…?」
「うちの店に青いカクテルは置いてない。睡眠薬入りだろ、これ。うちのお客さんに何するつもりだった?」
私が驚いている間に、隣に座った男性はバツが悪そうな顔をしながら出ていった。
「危なかったな、あんた、眠らされてひどい目に合うところだったぞ」
「すいません…ありがとうございます…」
「青いカクテルに注意するなんて、初歩だろ」
「あ、あんまりこういうとこ、きたことなくて…」
私はバーテンさんにすべて話した。そういう噂を聞いてここに来たこと。いざとなって怖気づいてしまったこと。話しながら情けなくて泣いてしまった。
「すいません、もう帰りますね、ごめんなさい」
「いや、あいつがまだ待ち伏せしているかもしれないから、しばらくここにいた方が良い」
「でも…」
「カクテル1杯くらい飲んでいってくれよ」
そう言って私に新しく作ってくれた。鮮やかな桃色をした甘いカクテルだった。
「…それに。そういうことがしたいんだったら、俺が相手になってやりたいな」
「えっ!?」
「おねえさん、すごくかわいいし」
ニッと笑った彼がとても愛しく感じてしまって、お腹がきゅうっと切なさを思い出していた。
「名前なんていうんだ?」
「さゆり…」
「さゆりさんね、俺は大介、よろしくね」
私はそのまま閉店までいさせてもらった。大介さんがカクテルを作る姿を、何時間もずっと眺めていた。
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