「心は諦めたから、身体だけ頂戴」彼氏の幼馴染に求めるまで焦らされ続けて―
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「心は諦めたから、身体だけ頂戴」彼氏の幼馴染に求めるまで焦らされ続けて― (ページ 1)
「レナ、ごめん。どうしてもバイト抜けられなくなった。シンにもよろしく言っといて」
今からサークル――映画同好会――の飲み会が始まる、という丁度その時。
スマホ片手に誰かと話し込んでいた彼氏のタクが戻ってきて私にそう囁くと、足早に居酒屋から出て行った。
数か月前から、観光ホテルでバイトをしているタク。
確かに今日は金曜日だし忙しいのもわかるんだけど……。
「レナちゃん、ビールより梅酒のソーダ割りのが好きだよね?」
並び始めた料理を前に、はいどうぞ、と、グラスを渡しながらタクがいなくなってぽっかり空いた席に、どかっと座ってきたのはシンちゃんだった。
図体は大きいのに――確か183センチだったっけ――、アイドル然とした笑顔の可愛い、誰にでも人懐っこいタイプだ。
タクとシンちゃんは幼馴染で、私とは大学に入ってから知り合った。
「ありがとう。シンちゃん。タク、急遽バイトに行っちゃった」
「夏休みに二人で旅行に行きたいからって張り切ってるんだろ?ご馳走様」
くすりと笑いながらさらっとそんなことを言うから顔が紅くなる。
シンちゃんは、そんな私を置いてやおら立ち上がると、手を叩いた。
三十人余りのメンバーが一斉にこっちを見る。
「お疲れ様でーす。会長急用により、代わりに私が仕切らせて頂きます」
冗談めかした口調に、皆がくすくすと笑う。
「明日から夏休みに入り、いよいよ撮影に入ります。みなさん、気合入れて頑張りましょう。あ、今日はそんなこと忘れて楽しく飲もうね、乾杯」
大学三年生になって、映画同好会の会長をタク、副会長をシンに任されていた。
笑顔が素敵で人当たりの良いシンちゃんは、不愛想でこうと決めたら一人で突っ走るところのあるタクとは良いコンビだ。
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