夜景が一望できるガラス張りの院長室で年下の鬼畜新人ドクターに襲われる (ページ 3)
スーツの上に羽織っているのは、確かにここの白衣だ。
ドクターの着るその白衣は、毎日目にしているから間違えるはずがない。
混乱する私の顔がおかしかったのか、男性がクスッと笑った。
「…純。」
「え?」
一瞬何を言われているのか分からず固まっていると、
「ここの院長の息子です。明日からお世話になるんですけど、スタッフの方から何と呼ばれるかはまだわかんないので、とりあえず名前を。」
「っ!?」
“息子”その言葉にドキッと心臓が跳ね上がり、慌てて頭を下げた。
「し、失礼いたしました!」
嘘でしょ?!
まさか、院長の息子だなんて。
明らかに不審者扱いをしてしまった事に、なんとお詫びしていいかがわからず、その言葉しか出てこなかった。
ど、どうしよう。
顔を見る事が怖くて、頭を下げ続けていると、
「いえ。こちらこそ突然すみません。下見をしに来たのですが、他の方はもう帰られてるようですね。挨拶が出来ず残念ですが…でも、目的が達成できたので良かったです。」
どうやら、下見をする事が目的だったらしい。
安心し、相手には気付かれないよう小さく息を吐いた。
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