「可愛いだけで終わらせないで」思い出を塗り替えるオトナの再会 (ページ 5)

「俺も菜々子ちゃんのこと好きだった」

過去形なの?とからかおうとした私を、彼が何の苦もなく抱き上げる。

お姫様抱っこなんて、生まれて初めてで、ビックリして思いきり彼の首にしがみついた。

「ちょっと我慢の限界」

「あ、待って待って!パンプス履いたまま!」

「あ」

そっと下に降ろされて、パンプスを脱いで一度、玄関に上がる。

そのまま、まだドアの前にいる彼を振り返り、腕を広げた。

「さぁ、どうぞって?」

「うん」

二人で笑い合いながら、またお姫様抱っこをされて、今度こそ彼の寝室へ向かった。

ベッドに優しく降ろされながら、どちらからともなく、またキスをした。

「菜々子ちゃんもスーツだから、早く脱がないとシワになるね」

「脱がしてくれないの?」

「適当に脱がせてせっかくのスーツを台無しにしてもいいなら」

「…結構です」

自分で脱ぐなんて恥ずかしくて堪らないけれど、仕方なくスーツを脱いでいく。

ジャケットは躊躇なく脱げた。

問題はスカートだ。

「やっぱり脱がせてほしい?」

そう言って、ジャケットを脱いでネクタイを外した彼が、ぐっと近付いてくる。

「だっ、大丈夫!」

「なんだ、残念」

彼に背を向けて、こそこそとスカートを脱いだ。

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