夜の帳が下りた路地裏の居酒屋で、絶対秘密の同僚同士の恋

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夜の帳が下りた路地裏の居酒屋で、絶対秘密の同僚同士の恋 (ページ 1)

「ふう〜〜」
潤が長いため息をつく。

「ハル今日も一日お疲れ〜!一杯飲み行かん?」

「潤こそお疲れー!この仕事、なかなか終わらないよね。とりあえず今週のうちらを労いに行こっか。笑」

潤と私は広告代理店で働く同期だ。
今大型のCM制作案件の真っ最中で、毎日しぬほど働いている。

毎日クタクタだが、潤と一緒だからなんとかやれている。

*****

「「かんぱーい!!」」

「ハルなんか何かいいことあった?」

「え〜わかる〜?昨日仕事帰りに服買いに行ってさ!ずっと欲しかったやつ奮発しちゃった〜!」
「ちょっと大人っぽい格好にしてみたんだよね〜」

「大人っぽい格好…どんな?」

「秘密〜!」

私は童顔なこともあり、可愛らしいという印象を抱かれることが多い。

でも最近好きなやつのタイプが大人っぽい女性、ってことを知って少し色気のあるワンピースを買ってみたのだった。

我ながら形から入り過ぎだな、なんて笑えてしまう。

「なんで秘密なんよw」

(あんたの好みに合わせたからだよ…!)

なんてことを言えるはずもなく、他愛もないことを話しながらお酒は進んだ。

*****

「潤さ〜、そういえば最近好きな人とか出来た?」

「好きな人?いやー全然ないね。そういうハルはどうなのよ?」

「私もー。仕事ばっかで恋愛してる暇なんかないよね〜」

嘘だ。私の好きな人は目の前にいる潤。

「なら、誰か友達紹介しようか?」

「えー潤が??なんか突然怪しくない?笑」

「怪しいってなんだよwてか冗談だよ。ハルに紹介できるような友達なんかいねーよ」
「でもハルって美人よな。毎日見てる俺から見てもたまにドキッとするもん」

「なにそれ照れる〜〜!」

「いやまじよ。それに、性格も明るくて優しいし、仕事にも一生懸命だし、こんな素敵な女性なら、その気になればすぐに彼氏くらい出来ると思うよ」

潤が内心、(でも出来ないでくれ…)なんて思っていた事に私は微塵も気づいていなかった。

「でも潤こそそうだよ。イケメンでシゴデキって、隣の課で噂されてるらしいよ」

たまたまこの前女子トイレで隣の課の子たちが話しているのを聞いてしまったのだ。

思わず個室でため息をついてしまうところだった。

「そうかね〜?モテてたら誰か紹介してくれてもいいはずだけど」

ふふって笑いながらグラスを飲み干した潤の横顔が綺麗で見惚れてしまった。

「…ん?」

「ううんなんでもない!」

入社した時から密かに好きだった潤。
女子社員からの人気が高いし、何より同期の関係性を崩したくなくて心に思いを秘めたまま何年も過ごしてきた。

こうして潤と仕事終わりに飲みに行くことは珍しく無かったが、美人なんて言われたのは初めてだった。

嬉しくて、恥ずかしくてむずむずして、でも嬉しくて…。
なんて思いながら幸せな一時を噛み締めていた。

「結構いい時間だね〜!ラスト一杯だけ飲んで帰ろっか!」

「んだな。でも、もう遅いから家まで送ってくよ」

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