木から降りられなくなった猫を助けたら、異世界で猫耳イケメンに溺愛されちゃって…
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木から降りられなくなった猫を助けたら、異世界で猫耳イケメンに溺愛されちゃって… (ページ 1)
にゃー。
猫の鳴き声で目が覚めた。
にゃあー。にゃあーん。
助けを求めるような声が気になって起き上がる。
枕元のスマホをチェックすると、朝の6時少し前だった。
早起きして物理のレポートを書こうと思っていたのでちょうどよかった。
鳴き声を頼りにベランダに出てみた。
ベランダまで枝を伸ばした木の高いところで、真っ白で綺麗な猫が不安げに鳴いている。
降りられなくなっちゃったのか。
助けてあげなくっちゃ。
ベランダの柵の上に立つと、張り出した枝に手が届いた。そのまま枝を掴み、猫のすぐ下の枝まで登った。
「おいで。ほら、肩に乗って」
それにしても、なんて綺麗な猫なのかしら。
この辺りでは見たことのないオッドアイの白猫。
猫は私を見ると、そろりそろりと枝に爪を立てながら、幹の方に近づいてくる。
「もうちょっとよ。猫ちゃん」
猫が幹から足を滑らせ、落下してきた。
「うわああっ、猫ちゃん!」
枝から離した両手を広げ、猫をキャッチしようとした。
「きゃああああっ!落ちる!」
アスファルトが目の前に迫ってきたので、頭を庇って手から先に着地した。
「いったーーーいっ」
ふと上を見上げると、あの白猫は低い茂みに引っかかってもがいていたが、ほどなくして優雅に地面に着地した。
猫が無事でよかったけど、両手と膝がずきずきと痛む。
ちょっと…これから急いでレポート書かないと単位落として留年しちゃう。
ど、どうしよう?
この手じゃキーボードも打てないだろうし。
ああ、詰んだ。
「ミア、大丈夫?」
はへ?
猫がしゃべってる?
で、私の名前知ってる?
頭は打ってないはずだけど、木から落ちたショックでおかしくなっちゃったのかしら?
「ごめんね。ミアを驚かせようと思ってベランダから忍び込もうとしたんだけど」
「ちょ…どういうことよ?これから物理のレポート書かないと留年しちゃうのに!」
「大丈夫だよ。僕の妹のミアはニャーベル物理学賞を獲った天才だから、代わりに書かせればいいよ。それよりそのマルの中に入って」
え?
ニャーベル賞?
私と同じ名前の妹?
何が何だかよくわからないけど、私が落下したアパートの裏の路地には、子供が石蹴り遊びをするようなマルが白いチョークで描かれている。
「な、何なのこれ?」
「僕が発明した瞬間移動装置」
かの有名な、猫を瞬間移動させるあれか?
言われるままに、痛む手足を引きずって、マルの中に移動してみた。
え?
なにこれ、ブラックホール?
ものすごい渦に巻き込まれ、頭の中もぐるぐると眩暈が…。
うわああああっ…。
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