義理の兄は彼氏と別れたばかりの私を、昔から好きだったと言いながら押し倒す

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義理の兄は彼氏と別れたばかりの私を、昔から好きだったと言いながら押し倒す (ページ 1)

「それでね、約束を先に破ったのは彼なのに、意味わかんないキレ方をされて…」

がむしゃらに話しているのは、自分でもわかっている。
それでもうんうん、と全部肯定して聞いてくれている相手がいるせいか、私の口は止まらない。

付き合っている彼氏の愚痴を聞いてくれているのは、私の義理の兄である友紀くんだ。
友紀くんはひとしきり喋り終えて一呼吸を置いている私を見て、優しく微笑んでくれる。

「そっかぁ、それはひどいね。だって話を聞いていても、美晴が悪い要素なんてどこにもないもん」
「やっぱりそう思う!? さすが、友紀くんはわかってくれるよね~」

幼い頃、両親が再婚して兄妹になった日から、ずっと友紀くんは優しかった。
うまくいかないことがあっても慰めてくれるし、間違えて友紀くんのアイスを食べても怒らないし、何より私の味方をしてくれる。
だから、思わず言ってしまったんだ。

「あーあ、友紀くんみたいな人が彼氏だったらな~」

本当に、何気ない一言だった。
友紀くんは背が高くてかっこよくて、周りの人からも羨ましがられるほど人柄も良かった。
もし他人同士だったなら、きっと好きになっていただろう。

だからそんなことを言ったのだけど、言った瞬間に友紀くんの視線が変わったのを感じた。
優しいお兄ちゃんの目から、一人の男の人に変わったような、鋭い視線。
友紀くんは、頬杖をついたまま目を細めて答えた。

「いいよ、俺を彼氏にしてくれても」

本気なのか、冗談なのか、わからない声色。
じぃ、と見つめてくる友紀くんの目を見ていられなくて、つい目を逸らしてしまった。

「なーんて冗談冗談! さ、そろそろ帰ろうかな。彼氏に仲直りしよって電話してみる!」

わざとらしく大きめの声で言い、顔が熱くなるのを感じながら私は立ち上がる。
このまま友紀くんの家にいるのは、なんだかよくない気がしたのだ。
いつもは玄関先まで見送ってくれる友紀くんは、そのままそこに残るようだった。

「いつもありがとうね! じゃあ、また!」
「うん、またいつでもおいで」

それは、私がよく知っている優しい兄である友紀くんの声だった。

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