今日は遠距離中の彼との、大切な記念日。なのに急な仕事が入ってしまって…!?
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今日は遠距離中の彼との、大切な記念日。なのに急な仕事が入ってしまって…!? (ページ 1)
「ごめんね、デートの約束してたのに…」
「仕事なんだから仕方ないよ。気にしないで」
「でも…」
「じゃあ、また」
誠二は明らかに落胆した様子で、電話を切った。
私は思わず泣きそうになりながら、スマホをポケットにしまった。
付き合ってちょうど一年。
友達の紹介で知り合った誠二は、イケメンで優しくて、私のタイプど真ん中。
私の方から必死でアプローチして、三回目の告白でようやくオッケーをもらった。
その直後に運悪く私が転勤になって、ずっと遠距離恋愛だけど、ほとんど喧嘩をすることもなく、順調に交際を重ねてきた。
そして今日は、付き合って一年の大切な記念日。
まさかこんな大切な日に、急な仕事が入るなんて…。
「転職しようかな…」
パソコンに向かいながら、思わずそう呟いていた。
でも、せっかく頑張って入った大手広告代理店。
激務だけどやりがいはあるし、福利厚生もしっかりしている。
いくら彼氏との時間を大切にしたいからって、それだけの理由で転職するには、まだ勇気が必要だった。
*****
「ふあ…もうこんな時間か…」
欠伸を噛み殺しながら、私は会社を出た。
終電の時間はとっくに過ぎている。
本当なら、今頃誠二と素敵なレストランで食事をして、ロマンチックな時間を楽しんでいたのに…。
泣きそうにながらタクシーを探していると、「加奈」と背後から声を掛けられた。
「え!?誠二…!?」
「びっくりした?…らしくないよな、こんなの」
誠二は照れ臭そうに笑いながら、バラの花束を私に差し出した。
「サプライズ。今日は大切な日だから」
その言葉に、思わず泣きそうになった。
だって、彼がこんなロマンチックなサプライズをしてくれたのは初めてだったから。
花束を受け取って感極まっていると、誠二は優しくキスをしてくれた。
照れ屋な彼が外でキスをしてくれたのも、これが初めてだ。
「ホテルもとってるんだけど…どう?」
遠慮がちなお誘いに、私は躊躇いなく頷いた。
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