素顔も分からない彼に甘い甘いトリックアンドトリートな舌で翻弄される
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素顔も分からない彼に甘い甘いトリックアンドトリートな舌で翻弄される (ページ 1)
「お子様じゃないんだから」
クラブでハロウィンパーティーがあるというので彼氏が私の腕を取った。だから、こうして私は行きつけのクラブの前まで来たのはいいのだが…。
私は猫の仮装をしてイベントに挑んだ。彼氏はミイラ男。
クラブに入ると、様々な仮装をした人がぎっちりとクラブにひしめいていた。ここまで人がいれば本物のお化けが混ざっていても気づかないだろう。
私たちは適当に端っこに場所を取った。そこはVIPルームの前だった。
そこから現れたのは背が190cm近くもある細身の男性だった。男性は怪盗のコスプレか、顔には貴族時代のダンスでつけるような仮面をつけているので目は見られないが、口元だけでも十分に美形だと分かる。
男性に目を奪われていたら、隣にいた彼氏がいきなり怒り出した。そして、怒ったまま、私を置いて外へ行ってしまった。
「全くもう本当お子様なんだから」
もう20代も後半なのだから、落ち着いて欲しいと思っている。結婚という字がそろそろ見えてきているのだから。
「はあ」
ため息を吐いて、クラブの外へ行く。もう秋も深まり夜は凍えるように寒い。
はーっと息を吐いて手を温めていたら、突然、手を取られた。私の手を包み込むように温める人。
上を見たら、そこには先ほどのVIPルームの怪盗さんがいた。
「ここでは寒いでしょう」
「はい」
「僕と一緒に行きませんか?」
私は彼氏の顔を思い出した。でも、この怪盗さんを逃すのは惜しい。
手をじっと見つめる。優しい手つきだ。なんとなくこの手を知っている気がする。
それよりも寒い。人肌のぬくもりが欲しい。
「はい。お願いします」
返事をしていた。
クラブと駅の間にある高層ホテルに入る。一体、一泊いくらするんだろう。
もうチェックインしているらしく、真っすぐにエレベーターへ向かう彼についていく。こんな場所で猫の仮装なんて恥ずかしいので猫耳を取った。
部屋は14階にあった。その内の一室に私を招き入れる。
部屋はとても広く、スイートと錯覚するくらいだ。ベッドはキングサイズのものがどんと置かれている。
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