素顔も分からない彼に甘い甘いトリックアンドトリートな舌で翻弄される (ページ 4)

「まさかここまで気づかないなんて」

 ファントムは実はカフェの店長である。そこはシャムのお気に入りの場所で、お互いに見知った仲なのだ。

 クラブに出入りしているとカフェのイメージダウンになると思い、仮面にして素顔を隠したが、まさかこういう展開もあるのかと唸った。確かに彼女のことは前から気になっていたが…。

 入れることを躊躇ったのは、カフェで彼氏と話しているときの彼女を見ているからである。本当に幸せそうだった。

 ファントムはふうと息を漏らすと、スイッチを切り替えようと備え付けの紅茶を淹れる。無糖なはずなのに、飲んだら甘かった。

 彼女の味か…。

 いいハロウィンになったと、紅茶にミルクを入れた。 

-FIN-

この作品が良かったら「いいね!」しよう

35

コメント (0)

コメントを書く