契約結婚のはずだったのに、互いに惹かれ合い、優しく交わる初めての夜
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契約結婚のはずだったのに、互いに惹かれ合い、優しく交わる初めての夜 (ページ 1)
「じゃあ、佳奈子さん、いってきます。今日は飲み会があるので少し遅くなります」
「はい、わかりました。いってらっしゃい、気を付けて」
私たちは結婚して半年の新婚夫婦だ。でも、周りにいる普通の夫婦とは少し違う。
そう、契約結婚したのだ。
私の実家は父が開業医で、直紀さんの実家はお義父様が大学病院の院長をしている。
私の父とお義父様は仲が良く、ちょうど同い年の娘・息子がいるという話になり、今の時代には珍しくお見合いを設定され結婚に至った。
正直私たちの間には愛情はない。
お互い堅苦しい家柄のため、実家を出たいという考えは一致しており、結婚も特に契約結婚と割り切ればデメリットはないという結論になり籍をいれたのだ。
それでも、一応夫婦として一緒に住み、私は養ってもらう身として料理や家事やしっかりこなすようにした。
直紀さん自身も医師で仕事はとても忙しいが、必ず家に帰ってきて、食事も私が用意したものを文句ひとつ言わず食べてくれる。
愛情はなくても、とても優しくしてくれて私は満足していた。
しかし、直紀さんと一緒に過ごす時間が増えていくにつれて、私の気持ちに変化が出てきてしまった…。
*****
今日の夜は直紀さんが飲み会があると言っていたから、食事を作る必要がない。
たまには気分転換にと思い、一人で外で食事をとり、のんびり帰路についた時だ。
「せんせぇ、もう一軒いきましょーよー。せっかく明日お休みなんですからー」
甘い女の声の先にいたのは、直紀さんだ。私は思わず隠れてその様子を伺ってしまう。
「いや、今日も疲れたし、一軒目で失礼させてもらうよ。妻も待っているし」
「えぇー、そんなぁ。ざんねーん」
直紀さんは、若くて綺麗な女性たちに囲まれていた。
看護師さんなのかなと考えると同時にズキンと少し胸が痛むような気がした。
え…。何今の…。
嫌な気持ちを振り払うように一人で急いで帰った。
いつもはお風呂に入り、直紀さんが遅くなる日は先にベッドに入るのだが今日は身体が動かない。
ソファーでぼーっとしていると、ガチャンと玄関が開く音がした。
私は反射的に立ち上がり、玄関へ向かった。
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