初めて行くバーで大好きな推しに遭遇して朝までホテルで一緒に過ごすことに…
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初めて行くバーで大好きな推しに遭遇して朝までホテルで一緒に過ごすことに… (ページ 1)
「はぁ、今日も1日疲れたな」
ハードな事務作業を終えた私が1日の終わりに行き着いたのは、街外れのとあるバー。
落ち着いていそうな雰囲気が気に入って、一人で静かに過ごすつもりで店の扉を開けた。
「いらっしゃいませ」
カウンターに目をやると、端の方に男の一人客が座っている。
空いていてラッキー、なんて思いながらコーヒーリキュールを注文した。
以前はコーヒーなんて飲めなかった私が、推しに影響されて飲むようになったお酒。
いつかこんなところで会えたらな…なんて幻想を抱きながら、気がつけばお酒は随分進んでいた。
酔うと饒舌になる私は、マスターと他愛もない身の上話を交わす中で、気がつけば大好きな推しについて熱く語っていて。
「でね、その人のこと本当に好きになっちゃって。あっちは私のことなんて知らないのに…」
話しているうちに涙目になってくる。厄介な客だと思われているに違いないだろうけど、手の届かない人に想いを寄せる辛さを話せる相手なんて周りにはいない。
一夜だけだから許してほしい、そう思いながらマスターに心の内を晒け出していた。
「で…そのタレントさん、名前は?」
多分聞いてもわからないですよ、と言いながら推しの名前を口にすると、端の方に座っていた男性客の肩がビクッと震えた。
視線を感じてそちらを見ると、目が合ったのは紛れもなく私の想い続けるその人だった。
「え…三谷さん…?」
驚いて口にすると、目を丸くしていた彼は一瞬固まったのち笑顔になった。
「そうですよ」
夢に見るほど焦がれていた彼。その彼が、今私の目の前にいる。
「三谷さんなんだ…ほんとに、三谷さん…」
胸の高鳴りが抑えきれず、呆然としてしまう。私の熱い思いの丈も、全て聞かれていたのだろうか。
どうしよう…パニックに陥っていると、彼は「出ようか」と言って私の分の会計も済ませ、出口の方へ向かってしまう。
気がつけば私は彼と二人、夜のホテル街を歩いていた。
「あの…三谷さん、私の話聞こえてましたか?」
「全部聞こえてたよ」
苦笑しながらこちらを見る彼。
「ごめんなさい、その、引かれましたよね…」
「そんなわけないでしょ。君、美優ちゃんだよね?いつもお手紙ありがとう」
いつも彼に送っている手紙には、確か私の身の上話も書き綴っていた。マスターとの会話と照らし合わせて、私に思い当たった…というわけか。
酔いの回る頭で必死に思い巡らせていると、突然目の前が真っ暗になる。
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