絶頂の直前で寸止めを繰り返され、自分から欲しがるように調教される話 (ページ 2)
自分でも貞操観念は凝り固まっている方だと思う。
子供のころから過干渉気味の母親に「婚前交渉は絶対NG」とくどく言い聞かせられてきたせいなのか。
はたまた、テレビでキスシーンや濡れ場が流れると瞬時にチャンネルを変える家庭で育ったからなのか。
…まあ、どちらもだろう。
大人になり実家を出て、母親の呪縛から解き放たれた今現在。
それでも、どうしても性的なことに対して尻込みしてしまっている自覚はあった。
けれどそういった心理からくる自分の態度が、少なからず誠を傷つけてしまっていたのだ。
「付き合ってすぐの頃からさ、手を繋ぐこともキスすることも、最初はすごい身体こわ張ってたよね。だから俺なりにゆっくり進めてきたつもりなんだけど…もうそろそろ、実力行使しても大丈夫かなと思って」
「な…なにを?」
「今日は、香苗が求めるまでイかせない」
顔を近づけたかと思えば、耳元で少し掠れた低い声を吹き込まれる。
求めるまで、イかせない…?
「どういうこと…っ! 待って! 誠!?」
私が言葉の意味を探して呆けている間に足元に移動していた誠は、私の脚の間に陣取るとそのまま太ももに唇を沿わせながら所々鬱血痕を残す。
薄い皮膚にチリっとした感触とともに、赤い軌跡が付いていく。
これからされるであろうコトを察して慌てて止めようと制止の手を上げるも、時すでに遅し。
秘部にたどり着いた唇は、躊躇いなく陰核をパクリと口に含んだ。
入念にGスポットを刺激されたせいで、いつもより押し出された状態の陰核は殊更(ことさら)に甘い刺激を拾う。
背筋から脳髄にかけて痺れるような感覚が走り抜け、喉元を晒して仰け反ってしまう。
「ひぁ…! あ、あぁ…!」
小さな芽にチュウっと吸い付いたままゆるく頭を振られれば、襲い来る快感に支配されて、誠の言葉を考える余裕なんてなくなる。
無我夢中で枕元のシーツを掴み、何とか与えられる刺激を分散させようと試みるが、虚しい努力だ。
誠は太ももを撫でながら緩急つけて陰核をなぶり、的確に高みへと導いてくる。
「あ…イヤ、だ…っイ…く、やぁっ…」
来たる衝撃に備えて目を瞑った時、再び凪いでいく感覚が襲う。
もう泣きそうだ。
またイかせてもらえなかった。
爆発寸前まで溜まっているこの熱をどうにか発散させたくて、するつもりはないのに勝手に腰が雄を誘うように揺れてしまう。
はしたない。
でも、止められない。
両方の感情に板挟みになった私の目からは、いつの間にか涙の筋がいくつも生まれていた。
脚の間にあった誠の身体が伸びあがり、私の頬をつたう涙を労わるように吸いとっていく。
「香苗、気持ちよくなりたい?」
「…、ふ…ぇ」
こんな状態でもまだ、どう言ったらいいのかわからず、誠の問いに対して嗚咽で応えてしまう。
「なかなか強情だなあ…じゃあ、もう一回ね」
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