ヤケになって入店したバーが、いじわるで不器用な運命を繋いでくれた (ページ 2)
心拍数と同じくらいの早さで、でも緩く波打つようにピストンしてきて、立ちバックの体位によって降りた子宮口にバードキスをするように亀頭が触れていた。
肌のぶつかる音に、水音が加わっていく。それと中途半端に着たままの服が触れ合う、布擦れの音。
狭いトイレのなかでは、密着を余儀なくされていた。私のブラウスと、彼のシャツとベスト越しでも、互いに高くなる体温が感じられるほどに。
ああ……きもちいい。腰と頭がとろける。
でも揺さぶられるたびに手をついているドアが微かに揺れてしまって、完全に熱に溶けきることができなかった。
このドアの先、洗面所のほうにももう一枚ドアはあったけど、もし誰か入ってきたらと考えたら……。
「あ……、ミユキさんの中、ぎゅうってなりましたよ……」
耳元で囁く吐息混じりの声にカッと顔が熱くなり、じゅん、と下半身が泣いた気がした。
とんとん、と揺さぶる調子から、探るように腰をゆらゆらと揺らす動きに変わった。
硬く膨張したモノが、いろんな角度から私のナカを解した。抜けちゃいそうなくらいまで浅い所から、お尻のほう、押し上げるくらいにお腹側も深く撫で、そして最奥のしこりと、その周辺の柔らかい部分を絶妙な緩急をつけて亀頭が撫でまわした。
「っん……あ、ああっ、……っ、や、そこ……だめ、ンン……」
声を出したら余計にバレてしまう。でも、激しいいわけじゃないのに声を抑えることができないくらい、気持ちがよすぎる。
「一番好きなところはどこですか。俺に教えてください。ここですか。それとも、ここ?」
「っひ、ぁ、ッ、──ッ」
全部いい。そう伝えたくても快感によってもれる声で言葉にならない。
「教えてください、ミユキさん、俺に、もっとあなたのことを……」
私は彼の情欲に揺さぶられながら、本当の名前を口にした。彼は嘘をついていたことを怒ることはなかった。まるで、ずぶ濡れの子犬が雨の中拾ってくれた人間に向けるような、そんな純粋な輝きを持った瞳で私を見つめてくれた。
その輝きを見て自覚した。私は不器用すぎる彼に惹かれ始めていると。
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