土砂降りの中行き倒れている青年を助けたら…吸血鬼にお風呂場で食べられちゃう

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土砂降りの中行き倒れている青年を助けたら…吸血鬼にお風呂場で食べられちゃう (ページ 1)

ざあざあと音を立てて降りしきる雨が、スーツを纏った肩も、パンストに包まれた脹脛も、革のパンプスも濡らしていく。

お気に入りの青い傘でも受け止めきれないほどの雫に、だんだんと鞄までぐっしょり濡れていくのを感じながら、仕事を終えた恵美は家路を急いでいた。

晴れていれば満月が出ているはずだが、視界すらけぶるほどの雨で視界はただただ暗く、電灯の光すらぼやけて見える。

びしょびしょになりながら帰ってきた家の前、塀のほうに視線を落とした恵美は、驚きのあまり傘を落とした。

「な、何これ……」

黒い布に包まれた、ちょうど人くらいの大きなものが、塀の前に陣取っていたのだ。

恐る恐る近づき、そっと布をめくって、息を呑む。

「お……男の、子……?」

その正体は、20歳前後くらいの、驚くほど端正な顔立ちの青年だった。

冷え切った白磁の肌、静かに閉じられた瞳、そして濡れそぼる髪は、混じりけのない白銀。

「ハーフ、かしら……もしかして、死んでる……?」

恐る恐る口元に手をかざしてみると、かすかに息をしていてほっと息をつく。

しかし、このまま放っておけば、いずれこの美しい青年は死んでしまうだろう。

僅かな逡巡の末、恵美はきっと強く青年を見据えると、傘を腕にかけて青年を抱きかかえた。

決して太いわけではないのだが、ひょろりと長いその体を抱え上げるのは無理があり、やや引きずってしまうがそれはご愛嬌。

四苦八苦しながら玄関へと運び込み、びしょ濡れになった自分と彼の体を拭くためにタオルを持ってくると、水気を取る程度に拭いていく。

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