好きで好きで仕方がないのに―叶うことのない初恋が招いた暴走する独占欲
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好きで好きで仕方がないのに―叶うことのない初恋が招いた暴走する独占欲 (ページ 1)
あの後ろ姿。
ふんわりとした髪を揺らしながら跳ねるように歩く癖。
一目でわかる。
…僕の好きな人。
「美衣ちゃん」
「?」
きょとんとした顔でこちらを振り向く。
そして、彼女は僕を見つけると満面の笑みを見せてくれた。
「晃」
美衣ちゃんは昔近所に住んでいて、年下の僕はよく遊んでもらった。
でも、中学生の頃に転校していき会うこともなかったけど、美衣ちゃんが社会人になった時に会社に近いこっちに一人でまた戻ってきたらしい。
それから、たまたま再会して、僕の初恋がまた動き出したんだ。
「晃、何してるの?」
「僕は帰るとこだけど…」
「…私は今からデートなのです」
てへっとお茶目に笑って「まだ早いんだけどね…」と付け加えた。
そう。
僕の好きな人…。
美衣ちゃんは再会した時から既に違う男の彼女で。
それはどうしようもないくらい胸を締め付ける事実で。
それを知った時は本当に死んでしまいたくなるくらいの衝撃を心に受けたことを今でも鮮明に覚えている。
何度も諦めようとした。
それでも、この成長した恋心を簡単に諦めることが出来るはずもなく。
行き場のない喪失感が僕を襲った。
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