偶然隣り合わせた美容師と意気投合して…憂鬱な出張が巡りあわせたときめき
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偶然隣り合わせた美容師と意気投合して…憂鬱な出張が巡りあわせたときめき (ページ 1)
まったくもって理不尽。
プレゼン、しかも出張を急に課長に押し付けられた。
いつも急~に都合が悪くなりますね、かちょー。
心のなかでしか悪態をつけなかった私は、しぶしぶ、新幹線に乗っている。
プロジェクトを理解していることと、それをプレゼンできるように整えることはベツモノ、簡単なことじゃないと何度言ったら解るんだ・・・。
いや、何度言おうと解らない、か。
ああもう。
座席で爪を噛みながら、いらいらと資料をめくっていたら、ボールペンを落としてしまった。
スミマセン。
隣の席に謝り、身をかがめる。
「ひっ?!」
なにこれ!
「あ、驚かせてスミマセン。それ、美容師の練習台です。生首じゃ、ないですから」
隣の席のひとは、申し訳なさそうなまま、続けた。
「ふだんは見えないように持ってくるんだけど、今日は急に出ることになってバタバタして・・・ほんとスミマセン」
「あ、いえいえ、大丈夫です。そっか、練習台か~」
「ありがとう。・・・あなたも出張でしょう?なんだか大変そうにしてらっしゃる。ちなみにどちらまで?」
ペンを拾い、初めて彼の顔を見た。
へぇ、さすがにその業界のひとだ、髪も髭もととのってる。
「名古屋です」
笑顔でこたえ、またしばらく資料と格闘した。
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