花屋で働く年下の彼がマーガレットの花束に込めた想い
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花屋で働く年下の彼がマーガレットの花束に込めた想い (ページ 1)
金曜日。
一週間、仕事を頑張った自分へのご褒美に、私は花屋で花を買う。
一人暮らしの部屋を明るくしてくれる花も好きだけど……
同じくらい好きな人が花屋にいるのだ。
私は弾む心を隠せない足で、駅前のメインストリートの端にある花屋に入った。
「いらっしゃいませ」
にこりと微笑んで、カイ君が私を迎えてくれる。
「リコさん、待ってましたよ。今日はすごく可愛いダリアがあるんですよ」
ラブラドールレトリバーを思わせる人懐っこさ。
髪の色は黒だから、黒ラブだ。
「ほら、すごく可愛いでしょう?」
「本当、すごく可愛い!」
中心に向かって、白からワインレッドのグラデーションになっているダリアは私好みだった。
「いつもみたいに、数本を束ねる感じで?」
「うん。お願いします」
「かしこまりました。少々お待ちください。あ、ポイントカード、先にいいですか?」
「はい。どうぞ」
ポイントカードを差し出す時、少しだけ緊張した。
カイ君にネイルが見えるから。
親指から薬指までは、シンプルな白のフレンチネイル。
でも、小指にだけはマーガレットのシールを載せてある。
年下の花屋の店員さんに伝えられない気持ち。
「お待たせしました。ダリアとポイントカードです」
カイ君は私のネイルなんて気にも留めず、てきぱきと仕事をこなした。
当たり前だ。
私はいつものようにお礼を言ってから、花屋を出た。
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