痴漢被害にあった彼女におねだりされて優しく念入りに抱き合う柔らかな独占欲
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痴漢被害にあった彼女におねだりされて優しく念入りに抱き合う柔らかな独占欲 (ページ 1)
駅までの道を全力疾走していた。
恋人の緊急事態なのだ。
ここで急がなかったら男じゃないだろう。
「由里!」
改札を出たところにいた由里は、俯いて元気のない様子だった。
無理もないだろう。
『電車で………お、尻…触られて』
そう告白する受話器越しの声は、震えていたのだから。
「待たせたね。行こうか」
もう大丈夫だよ、と抱き締めたくなるけれど、今は我慢。
代わりに、一回り小さい手を握り締めた。
ふわりとした布地のワンピースから覗く脚は、ストッキングを穿いているようには見えなかった。
歩いて十分ほどのマンションへの距離がいつもの倍は長く感じた。
その間、交わす会話はほとんどなかった。
玄関扉を閉めてすぐ、華奢な体を思い切り抱き締めた。
きつく、きつく。
恋人を卑劣な輩から守れなかった不甲斐なさに、胸が締め付けられるようだった。
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