隣人に毎日聞こえてくるAVの音漏れを注意しに行ったら要求されるコスプレ撮影会 (ページ 3)
「確認します?立ち話も暑いですし」
「え、そんな」
「どうぞ」
弱々しく微笑まれて、もしや勘違いならきちんと謝らないとなという思いがあって靴を脱いだ。
まあ何かあってもこの人くらいなら蹴り倒せばいけるだろう。
「(うわあ…)」
部屋の中は想像通りというか想像以上というか、ほんとにすごかった。
そこら中に1人の女の子キャラのフィギュアやらポスターやらが並べてある。
「すごいでしょう。嫁のユニ子です」
ふふん、という感じで紹介されたフィギュアにぺこっと頭をさげる。
辺りを見回してもユニ子さんだらけで確かにテレビは見当たらない。
…、でも。
スリープにしてあるベッドの上のノートパソコン、近くに散らばるティッシュの塊。
あと、なかなか強烈なイカ臭さで確信する。
テレビはないけどパソコンで観てたでしょ、絶対!
「あの、パソコンとかで動画とか観られます?多分、その音がうちまで届いてて迷惑なので出来ればイヤフォンか音量下げて欲しいんです」
「あ、ロック聞くんですけど、もしかしてその音ですか?」
「いえ、音楽ではなくてですね」
困ったように腕を組む田村さんがベッドの上に腰かけて、部屋の床に座る私を見下ろす。
「なにが音漏れしてるか教えてもらえます?」
にやり、と。
その口角が上がったように見えた。
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