いただきます、そう言って私は髪を解き弱り切った男の唇に口づけた
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いただきます、そう言って私は髪を解き弱り切った男の唇に口づけた (ページ 1)
いつもの通学路の近道。
ビルとビルの間を抜ければ家まですぐなのだが、
「オラ!テメェ聞こえてんのかよ!」
数人に殴られ蹴られ、大柄の金髪の男が倒れてもその行為は止むことはなかった。
帰宅途中、地元では有名な不良校の生徒が通路を塞ぐようにしている。
かれこれ20分物陰から見ているけど、いつになったら終わるのか。
いい加減金髪の男はボロ雑巾の様になってしまっているし、仕方がない。
「すいません、そこ通していただけます?」
「あ?」
「なんだテメェ」
「さっき警察を呼びました。あと数分で到着するそうですが」
そう口にすると、蜘蛛の子を散らしたように不良たちは居なくなった。
残された金髪の男の前に屈む。
「なんで、…助けた」
「邪魔だったからです」
「チッ、…余計なことしやがって」
「あと、」
私は男の前髪を掴んで顔を上げさせる。
「身体が好みだったので」
「は?」
「丁度弱ってるようなので、好きにさせて頂きますね」
眼鏡を取り髪を解くと、それまでの真面目そうな外見からは予想ができなかったのか、男は目を見開いた。
「いただきます」
何か言いたげな男に構わず、唇に噛み付くように口付けると、僅かにその身体が強張った気がした。
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