突然の遠距離恋愛宣言に涙する私に彼は…切なくも甘い約束【前】

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突然の遠距離恋愛宣言に涙する私に彼は…切なくも甘い約束【前】 (ページ 1)

「え…?」

思わずフと手の力が一瞬抜けたのを感じる。

持っていたコーヒーカップを落とすかもしれないと思った。

コップを落としそうになったせいか、トットットッと心拍数が早くなるのを感じる。

―いや、原因はこれだけではない

「えっと…、だから、来週から海外に留学することになったんだ…」

今、目の前にいる『彼』の突拍子のない発言が

主に私の心拍数を乱しているのに違いない。

― ―

「海外留学?なんじゃそりゃあ…」

「何って…っ美緒、口から珈琲垂れてるよ」

「えっ!?」

―見ると口の端から茶色い線がタラタラと線を描いていた。

どうやら手の力だけでなく、口の力も緩んでいたらしい。

慌ててテーブルの備付のナプキンを引っ張り出す。

それを見て目の前の人物はクスクスと笑った。

「ちょっ…笑わないでよ拓也!」

「フフッ、ごめんごめん。だって美緒らしいから」

拓也の笑顔を見ていると、何だか気持ちが安らかになる。

その証拠に、さっきまでの乱れた心拍も落ち着きを取り戻している。

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