ナンパから助けてくれた金髪ピアスのお兄さんを逆ナンしたら、泣き顔好きの絶倫で… (ページ 2)
「よしよし、もう大丈夫だからなー」
大きな手が私の頬を伝う涙を拭う。ハンカチとか洒落たもんもってなくてごめんなーと言いながら触れる手が優しくて、その手のぬくもりにホッと息を吐いた。
「有難うございます、助かりました」
「この時期はさー酔っ払い多いからね。気を付けないと」
ふっと微笑む顔が怪しい風貌に似合わず優しくて私は思わず見とれてしまった。いまだに頬を拭ってくれる手のぬくもりが心地よくて、思わずそっと頬を寄せると大きな手が慌てて私の頬から離れた。
「こらこらこら。オレが悪ぅい奴だったどーするの?そんな可愛いことして」
「あ、えと…ごめんなさい。なんかお兄さんの手、気持ちよくて」
「…っ」
つい本音を溢せば眼の前の彼は顔を真っ赤にして口をパクパクと開閉させている。そんな変なこと言っただろうかとみていると、彼はガシガシと頭を掻いた。
「あのね、お嬢ちゃん。もーちょっと危機感持ちな?お兄さん心配だわ。名前も知らん男に助けられたからってそんなに気ゆるしたらいけません」
「あ、私…春香っていいます。お名前伺ってもいいですか?」
「ん、オレは海斗」
「海斗さん。これで名前知り合えましたね!」
「いや、そういう事じゃなくって…だからぁ、オレが君のことがものっそい好みで、下心ありきで助けたかもしらんでしょ?だからね」
一生懸命話す海斗さんが私は益々かわいく見えて、身振り手振りをしている彼の手をそっと握った。
「あの」
「な、なに」
「お暇ですか」
「お暇…ですけど」
「お礼も兼ねて、その私と…どうでしょうか」
「は、え、オレもしかして逆ナンされてる?」
「してます」
海斗さんは私の唐突なアプローチに心底驚いたような声を出した。顔を真っ赤にして狼狽えていて、いやだって泣くほどナンパ怖かったんじゃないの?とかとても早口になっているから私は握った手を両手で包むように握り直した。
「生まれて初めて、ナンパしてます。あの、はしたない…女はだめ…でしょうか」
私の精一杯の上目遣いに、彼は小さく呻くとだめじゃないですと私の手を握ったまま路地裏を抜けようと歩き出した。
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