幼馴染でアイドルの彼が主演のドラマ、相手役に嫉妬してしまった私は…

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幼馴染でアイドルの彼が主演のドラマ、相手役に嫉妬してしまった私は… (ページ 1)

自分でも、くだらない嫉妬だなあと思う。
彼がドラマで演じている役の、相手役の人にまで嫉妬してしまうなんて。

リビングのテレビからは録画していたドラマが流れている。
それを優人と二人、ソファで並んで見ていた。

幼馴染で彼氏の優人は、今話題沸騰中のアイドルグループに所属している。
たしかに優人は昔から容姿が整っていたし、リズム感もあって、歌もダンスも得意だったからスカウトされたという話を聞いたときは、驚くより先に納得してしまったことを覚えている。

デビューしてからも驕ることなく、一つ一つの仕事に向き合い打ち込む優人の姿は、幼馴染という贔屓目を抜きにしても誰よりもかっこよく見えた。

そんな彼の努力が実り、ちょこちょことドラマにも出るようになって、今期放送しているドラマでは初めて主演を務めることになったのだけど――何でもない顔をしてキスシーンを眺めていられるほど私は大人じゃなかった。

アイドルという彼の職業を理解したつもりでいた。
恋人としてだけでなく一人のファンとしても応援していて、画面越しに彼の姿を見かけるたび私もすごくうれしい気持ちになっていたのに。

ドラマの世界にまで嫉妬するなんて、自分で思っていたより心がせまくていやになる。
優人の仕事の邪魔になることだけは絶対にしないし、余計なことも言わない、と心に決めていたのに簡単に揺らぎそうになる。そんな自分が、いやだ。

「優人…」

ドラマがちょうどCMに入ったところで、私は隣にいる彼を呼んだ。
優人はすぐに「ん?」とやわらかく応えてくれる。

そうして彼の方にぐっと近づいてキスをした。ほんの少し唇が触れ合っただけの軽いキスだったけれど、私からすることなんてめったにないので優人は驚いた顔をしている。

「…どうしたの、花」
「う…いやだった…?」
「全然。いやなわけないけど、めずらしいからどうしたのかなあって」

察しのいい彼のことだから、私からキスをした理由なんてとっくにわかっているのだろうと思う。
現に私の顔を覗き込むようにして身体をかがめた優人はにやにやと笑っている。

そして彼の大きな手のひらがそっと頬に触れたかと思うと、あっという間に唇を奪われてしまった。

*****

「んっ、ん…」
「ほら、花頑張って」
「や、ぁ…っ、わかってる、けど…」

対面座位なんてめったにしないからどう動いていいかわからない。
優人の熱を受け入れたところからじわじわと快感が広がって、脚にうまく力が入らなかった。

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