10年の片想いが実る夜〜巨根な上に絶倫だなんて聞いてない!〜 (ページ 2)

え…?と固まっている私。
自販機側にいた友達の横、死角になっていた所から、璃空が出てきた。
え、まさか聞いて…

「あら、初華真っ赤〜♡」
「わりーな。話聞かせてもらった」
「聞かせてもらったって!璃空あんたから聞き出してって頼んできたんじゃん!」

固まったまま会話に追いつけない私の目の前に璃空が立つ。
「顔真っ赤。か〜わい〜」
ニヤついて偉そうな顔して、壁に頭預けちゃってる璃空が私を見下ろして…

「!?かっ、かわっ…〜〜〜〜!?」
パニックになってる私を他所に皆が逃げ場をなくしていく。

「ほらほら、イチャつくのは他のとこで頼むよー。3部屋のうちの1個、急病用に取ってた部屋使っていーからさ〜」
鍵を投げられて受け取った璃空が、サンキュと一言言って私の手を取り歩き出してしまった。

「あ、璃空〜?加減はしてあげなよ〜!」
「はいはいできたらな」
「えっ、ちょっ、ええええ」

慌てて振り向くけど、皆は素直になれとか頑張れとか、ヒューヒューとか口々に言って茶化すだけ。
私はパニックのまま。

ーーーーガチャン
急病人用に取っていた部屋に手を引かれるまま入ってしまった。
璃空の広い背中しか視界に入っていない。

「えっ、ちょっと、璃空…えええっ」
「ぶっ…っ、てんぱりすぎ」

堪えきれずに吹き出した璃空が私の方に振り返る。
みんなの荷物は他の2つの部屋にある。
すぐそこに見える寝室には布団が敷かれていて、部屋が静寂に包まれている。

なのに私の耳には何も聞こえない。
自分の心臓の音にかき消されているから。

その時、璃空が腕を伸ばして更に近付いてきたから私の息が止まった。

「…鍵、閉めただけだよ。何、期待してる?」
腕が伸ばされたのは私の後ろにあるドアにだった。
璃空はわざとなのか、私の反応を楽しむように笑ってる。

きっと私、顔真っ赤だ。
肌に触れる空気までぬるくなってる気がする。

「なぁ初華、さっきの、ちゃんと本当か?」
何のことを言ってるのか、頭が回らなくて何も答えられない。

「好きって、俺の事好きって、本当か?」
「あ、えと…」
口から答えは出ないのに、璃空が満足気に笑った。

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