セカンド女を拾った優しい白タクくんに、愛されエッチで溶かされちゃう温泉デート (ページ 2)
時計を見ると、終電まであと20分しかない。
慌てて服を整え、ゲートをよじ登り、飛び降りるときに足首を捻ってしまう。
「じゃ、また連絡する。俺、地下鉄だから」
駅まで全速力で走り、終電に飛び乗ると、捻った足首がズキズキと痛む。
*****
「あの、よかったら座って。足痛そうだから」
足を引きずりながら、空いているつり革を探していると、斜め前に座っている若い男に声をかけられた。
優しそうな雰囲気の人で、見覚えのある顔、と思ったら毎朝同じ駅から乗ってくる人だった。
「大丈夫です」
と言ったのに、男は立ち上がる。
遠慮するのも悪いような気がして、座席に腰かける。
家までの道のりは長い。
もう少し便利なところに住みたいけど、両親が仕事の都合で海外に行ってしまい、私が実家の留守番をしている。
音楽を聴きながらうとうとしていると、音量が下がり、スマホの通知音が鳴る。
―今日はありがとう。いつも振り回してごめん。
彼からだった。
―でも、しばらく会えない。
やっぱりよりを戻すのか。いつものことだ。
―わかった。
短い返信をして、目を閉じた。
*****
電車が最寄り駅に到着し、痛む足を引きずって、タクシー待ちの長い列の最後尾につく。
この辺りには、駅から離れた大型の住宅開発地がいくつかあって、タクシー乗り場は長蛇の列になる。
バスの運行は10時台に終わってしまうし、家までは徒歩で40分ほどかかる。
「迎えに来たよ。さ、帰ろ」
不意に声をかけられ、顔を上げると、さっき席を譲ってくれた人がにっこりと笑っている。
「え、あの…」
「いいからおいで」
新手のナンパなのか?
悪い人ではなさそうだし、家に帰っても気が滅入るだけなので、興味本位でついていく。
列から少し離れると男は、
「びっくりさせてごめん。でもただの白タクだから安心して」
と声をひそめて言った。
「おう、タクちゃん頼むよ」
中年の男に、後ろから声をかけられる。
「あ、すぐ戻るからちょっと待ってて」
そう答えるところをみると、白タクというのは本当なのだろう。
近くの駐車場に停めてあった車に乗り、行き先を告げる。
「俺のことはタクって呼んで。で、きみの名前聞いていい?」
「鈴香」
「可愛い名前。ところで、終バスのあとから、今ぐらいの時間まで白タクやってるから、何かあったら呼んで。土日の遠出とかも応相談ね」
タクシー代と同額を払い、別れ際にパソコンで作った名刺を渡され、車を降りた。
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