優しさの中に潜む罠!料理上手な美青年に一目惚れされ、甘く愛されました!
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優しさの中に潜む罠!料理上手な美青年に一目惚れされ、甘く愛されました! (ページ 1)
私は最近、とあるデザイナーズマンションに引っ越した。
幼少の頃から、自分の力でオシャレな住まいに暮らすことを夢見ていた私。決して楽ではないサービス業に就職し、こつこつと貯蓄してきた資金でようやくこのマンションと契約することができた。
多めの荷解きを済ませ、隣の住人に挨拶したときのこと。
「初めまして、今度隣に越してきた者です」
ありきたりではあるけど無難な挨拶で、私は彼に頭を下げた。
「…あぁ、新しいお隣さん。はい、よろしくお願いします」
見た目は大学生、もしくは入社して間もない感じの若く美しい青年だった。
その温厚そうな雰囲気と、柔和な笑顔で嫌な顔ひとつせずに応じてくれた。
──いい感じの人だったな。
私は気分よく挨拶が出来たので、内心嬉しかった。
もしも怖い人が出てきたらどうしよう、なんて思っていたから。
ほっとしたのと同時に、あんな綺麗な男性が隣人なのって実はかなりラッキーなんじゃないかと、そんな邪な心が現れる。人よりも異性には興味がないと思うが、単純に仲良くなりたいとは思った。
しかしこの感情はとても浅はかなものだったのだと、私は後に知ることになる。
*****
夜も更け、残業で帰りが遅くなった私。
疲労感が強く、夕食も簡単なものでいいとコンビニでささっと購入した。
そしてマンションのエントランスを抜け、部屋のドア前に着いたときだ。
「実桜さん。ちょうどいいところに」
「…あ」
鍵を開けようとしていた私に、彼、依生くんが話しかけてきた。
「どうしたんですか、もう遅い時間なのに」
「いえ。ちょうど夜食を作っていたのですが、思ったよりも多く作ってしまって」
「夜食?」
依生くんによると、彼は勉強の合間の夜食を作ったはいいが、思ったよりも多く作ってしまったらしく。
少し外の空気に当たろうと思ったときに、私が帰宅したというのだ。
「僕、料理が趣味で。味は保証しますので、どうかもらって頂けませんか?」
依生くんはそう言って、料理の入ったタッパー差し出してきた。
こちらとしては栄養価のある手料理をもらえるのだから、非常にありがたい限りなのだけど。
「ありがとうございます。…じゃあ、お言葉に甘えて」
言うと、依生くんは嬉しそうに笑う。
「良かった。さすがにこの量はないですよね」
苦笑する依生くんだが、そんな表情もやはり綺麗に見えてしまう。
思わず、私は彼の顔をぼーっと眺めてしまっていて。
「あの、どうかしましたか?」
依生くんは不思議そうな表情で訊ねてきた。
「あ、ごめんなさい! 何でも、ないです」
私はいけないと、慌てて何度も謝る。
「あ、いえ。もしかして、お疲れなのかなと思って」
「え?」
意外な返答に、私はぽかんとしてしまう。
「あの、その…良かったら、ですけど。他にも何か、作りましょうか」
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