私を助けたのは、大好きなアイドル…!?そんな姿…知らないよ!
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私を助けたのは、大好きなアイドル…!?そんな姿…知らないよ! (ページ 1)
「お疲れ様でした」
定時に仕事を終わらせた私は、自宅へと歩き始めていた。
スマホに繋いだイヤホンからは、先日ライブに参加した大好きな拓也の歌声が私の鼓膜を揺らしている。
「また会いたいなあ…」
全国ツアーを一緒に周るほどに、私はそのアイドルが大好きだ。
だが、アイドルの追っかけをすることには一つ問題があった。
ごく平凡な会社員の私が、全国を周ることは金銭的にも厳しくここ何日かはろくに食事も取れていなかった。
「あれ…何だか…」
自宅まではあと少しだ。だが、私の視界は二転、三転と回りついには意識を手放してしまう。
*****
「ん…?」
見慣れない天井。嗅ぎ慣れないコーヒーの香りで目を覚ました私は何度か目を擦った。
「あ、おはよう。ちょっとはすっきりした?」
声の主が私に近付いてくるのを感じ、ドアの方に視線を向けるとそこには…
「えっ…!ええええ!拓也!?な…なんで!?」
「ふふっ、びっくりした?」
見間違えるはずもない。そこには私がこよなく愛している拓也がいた。
「まって、まって…本当に…どうして、こんな…えええ」
驚きのあまり口をぱくぱくさせる私を見て、拓也はさわやかな笑みを浮かべる。
「瑠奈ちゃん、良い反応だね」
「拓也…まって本当になんでか分かんないよ…」
頭の中が混乱し、同じような言葉しか口に出来ない私を見て拓也はベッドに腰掛けた。
「家に帰ろうとしてたら、瑠奈ちゃんが倒れているんだから僕も驚いたよ。しかもその顔に何か見覚えがあると思ったら…僕のファンなんだから。助けないわけにはいかないでしょ?」
「え、えっと…ありがとうございま…って何で…あの…」
「名前は身分証で確認した。顔が見覚えあったのはいつもライブに来てくれるからだよ?いっつも可愛い髪型して来てくれるんだから、気付かないわけないよ」
「な、なるほど…」
私のことを拓也が知っていただけでも涙が出るほど嬉しいのに、倒れていた姿を見られたと思うと恥ずかしさで顔から火が出そうだった。
「ねえ、瑠奈ちゃん。僕の事、どれくらい好き?」
「え…そんなの…世界で一番好きに決まってるよ!だからご飯も食べずに節約して今回の全国ツアーだって…あっ」
私の言葉を聞くと拓也は「いけないなぁ」と呟き、ベッドに寝ている私に唇を重ねた。
「ふっ…ぁ…拓也…っ」
「やだ?」
「んっ…ま…って」
拓也はにやりと微笑むと、私が抵抗できないのを見て布団を捲った。
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