ほんのり好意がエッチしたら本気になって本物の好意になっちゃった!

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ほんのり好意がエッチしたら本気になって本物の好意になっちゃった! (ページ 1)

「ありえないんだけど。何でこんなことになってんの。…ちょっと、ちゃんと歩いてよ」

「ごめん、まだ無理…ウッ、気持ち悪い…」

「やめて、ここで吐かないでっ。飲み込んでっ」

「ウウッ」

自分より大きな男を支えて歩きながら、喜子は泣きたい気持ちだった。

二人で飲まないかと誘われた時、喜子はとても嬉しかった。

章一に好意を持っていたからだ。

彼とは会社の同期で、少し前から同じプロジェクトに就き、毎日知恵を出し合ってきた。

そうして彼の人柄に触れているうちに、だんだんと惹かれていったのである。

それに、喜子は人の感情に鈍いほうではない。

鋭くもないが、人並みには自分に向けられる感情の色を感じ取ることはできる。

だから、章一も自分のことを少しはそのように思っているようだと感じていた。

言葉にはしないが、お互いにそれを確かめるために飲みに行ったと思っていた。

(そう思っていたのに…誘ったほうが先にへべれけになるとか!)

喜子とて、酔っていないわけではない。

だがほろ酔い程度だ。

喜子は章一を励ましながら、ようやくタクシー乗り場まで辿り着いた。

やって来たタクシーに押し込み、章一が行き先を告げることができたのを見て安心したが、すぐにムクムクと不安がこみ上げてきた。

――タクシーの中で言葉にしたくないアレコレをやらかして大迷惑をかけるのではないか、と。

(こんなの予定に入ってないんだからね!)

喜子は心の中で悪態を吐くと、一緒にタクシーに乗り込んだのだった。

*****

章一が住むアパートの部屋に入った頃には、喜子はクタクタに疲れていた。

このまま玄関に放置してもいいかしらと思ったが、風邪でも引かれたら寝覚めが悪いので、これが最後と室内まで支えて歩く。

「悪いね…」

「本当よ。ベッドは? それとも布団敷いて寝てるの?」

「隣だけど…布団、敷いてくれるの?」

「くれるわけないでしょう!」

隣室への襖を開けると、暗がりにぼんやりと見えたベッドに、やや乱暴に章一を転がそうとして――なぜか一緒に雪崩れ込んだ。

章一にしっかり抱き込まれていたのだ。

「ちょ、ちょっと!」

「ごめんね、まさかこんなに酔いが回るとは思わなくて…。迷惑かけたね、ありがとう」

「そ、それはわかったから、離してくれる?」

こんな状況だが、好意を寄せている相手とベッドで密着状態になってしまったことに、喜子の心臓はドキドキと脈打っていた。

ところが、章一の腕が緩む様子がない。

それどころか、喜子の頭をやさしく撫でてくる。

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