夏になると決まって思い出す遠い日のこと―俺はあの子に気持ちを伝えた
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夏になると決まって思い出す遠い日のこと―俺はあの子に気持ちを伝えた (ページ 1)
夏になると想い出す遠い日の想い出。
* * * * * * * * *
俺は高校時代水泳部に所属していた。
うちの学校では夏はもちろん冬でも走り込みなどのトレーニングがきつく、退部する部員が後を絶たなかった。
それでも続けていた理由は二つある。
一つは何より水泳が好きだったからだ。
そしてもう一つの理由は・・・
マネージャーの高橋だ。
高橋は冬の部活にも欠かさず出席し、夏はみんなのタイムを把握し速かった者には発破をかけ遅かった者には励ましの言葉をかける。
高橋がいると雰囲気が明るくなりみんなが自然と笑顔になる。
俺はそんな彼女が好きだった。
だがタイムが伸びずエースでもない自分に自信が持てず気持ちを伝えられずにいた。
そのまま3年の夏を迎えた。
“今年で部活もおしまいかぁ。これであいつにも会えなくなるな・・・。”
俺は意を決して練習終了後高橋をプールサイドに呼び出した。
「お疲れさま!どうしたの?」
ふいに後ろから声をかけられビクッ!と体が飛び跳ねる。
「ちょっとぉ!自分で呼び出しといてそんなびっくりしないでよー」
「あ、ああ。ごめん。」
高橋は笑いながら俺を見つめている。
その目を見ているとさっきまでの動揺が嘘みたいに落ち着き自然と言葉がでた。
「高橋。好きだ。」
「!?」
まん丸な目をさらに見開いて俺を見つめ、困ったような顔をして俯いてしまった。
沈黙・・・
“ああ やっぱり無理か・・・”
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