恋人以外の男性にキスマークを付けられてしまった私。恋人は激しい嫉妬と独占欲を露わにして…。 (ページ 3)
「痛い!」
思わずそう叫んだ。
それでも聡は、その部分に、さらに歯を食い込ませる。
…本当に、吸血鬼が生き血を吸おうとしているみたいだ。
「やめて!」
あまりの痛みに、そう訴えたけれど、今度は左側に咬み付かれた。
「…せっかく、首が見えない服を着て来たんだ。由香里の首筋を、真っ赤にしてやる」
そう言うと、次々と愛咬の跡が付いてゆくのが、鏡で分かる。
けれど、逆らえないほど、それに慣れた私は、感じてしまっている。
これからまた、ハイネックのサマーセーターしか着られない日々が待っている…。
ぼんやりとした頭でそう考えていると、聡が私の手を取る。
そして、とっくに張りつめたものを握らされた。
「…舐めてくれよ」
快感に酔いしれたまま、私は床に膝を付き、聡のズボンとパンツを下ろす。
彼は上半身のポロシャツを脱ぎ捨てる。
聡のものを遠慮なく口に含みながら、私はこの上なく幸せだった。
ちらりと鏡を見ると、彼も鏡越しに私の姿を見ていて、目が合った。
私の頭に手を置いて、彼も満足げだ。
…どのくらいの間、そうしていたのだろう。
聡の息遣いが荒い。絶頂が近い。
彼は、何も告げずに、私の口の中に果てた。
こんなことは、初めてだった。
「まずいだろう。吐き出しておいで」
いくら恋人のものでも、精液のにおいは好きじゃない。
私はバスルーム兼洗面所へ行って、口をゆすいだ。
聡のところに戻ると、彼はベッドの上に仰向けになっていた。
私を見て、穏やかに微笑む。
どうやら、嫉妬の嵐は過ぎ去ったらしい。
そのことに、心底ほっとしている。
「こっちにおいで。由香里も全部脱げよ」
そういえば、私はスカートと下着がそのままだった。
言われた通り、全裸になって聡に寄り添い、胸板に頭を乗せる。
目を閉じた聡は、手探りで私の頭に手を置いて、優しく撫でてくれる。
「…ありがとう」
一瞬、何のお礼なのか、分からなかった。
フェラチオだけで絶頂を迎えたことに対して、だろうか。
「ありがとう。俺と一緒にいてくれて。由香里が俺の恋人で、本当に嬉しいよ」
私にとって、最高の賛辞だった。
嬉しさに涙がにじむ。
こんなにも愛されていることが、ありがたかった。
そして、心の底から聡を愛していることに、気が付いた。
「どうした?泣いてるのか?」
涙が、彼の胸に落ちていた。
その言葉を聞くと、余計に涙が止まらなくなる。
驚いたせいか、聡は体を起こした。
「どうしたんだよ?」
「…嬉しいの…聡がそう言ってくれて…」
泣きながら言うと、聡は私の体を起こし、そっと抱きしめてくれた。
涙が伝う頬に唇を寄せ、キスしてくれる。
そして、穏やかにこう言った。
「俺が何のためにキスマークを付けるか、分かってなかったのか?」
単なる趣味だと思っていた私は、何か意図があるとは、考えてもいなかった。
照れたように、聡は続けた。
「…人前で、肌を見せて欲しくないからだ」
どうしてそんな簡単なことに、私は気付けなかったのだろう…。
申し訳なさに、また涙がにじんだ。
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