恋人以外の男性にキスマークを付けられてしまった私。恋人は激しい嫉妬と独占欲を露わにして…。

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恋人以外の男性にキスマークを付けられてしまった私。恋人は激しい嫉妬と独占欲を露わにして…。 (ページ 1)

私の恋人は、首から肩にかけての愛撫を好む人だ。

 唇を這わせるだけではなく、きつく吸われるし、咬まれることもある。

 あまりに痛いとか、不快だというほどではなかったから、何も言っていない。

 元々、首筋や肩の辺りは、性感帯ではなかった。

 今の恋人と付き合うようになってから、開発されたと言ってもいい。

「もし俺が吸血鬼だったら、お前の生き血を全部吸い尽くすのに…」

 いつだったか、恋人の聡が、情事の最中に言っていた言葉だ。

 うわごとのようにささやきかけられた。

 ただ、その跡を隠すのには、苦労する。

 ファンデーションで隠しても、夏場は汗で流れてしまう。

 しかも、それでは隠しきれないほど、強いキスマークだ。

 結果として、私は夏場でも、ハイネックのサマーセーターを着ることになる。

 見た目が暑苦しいのは分かっているけれど、首筋の赤い跡は見せられない。

 会社では、『肌を見せるのが嫌いな人』ということになっているようだ。

 私が会社で変わり者扱いされているのは、それだけではない。

 お昼休みは、いつもひとりだ。

 コンビニのサンドイッチとコーヒーを、お昼に食べる。

 建物の裏手にあるベンチには、私だけが座る。

 他の人たちは、『彼女がいるから』と、誰も踏み込んでこない。

 私は遠慮なくそれに甘えて、お昼休みをのんびりと過ごしていた。

 聡としばらく会えなかったある日、私だけの『特等席』に、失礼な人が現れた。

 普段、会社の中でも、あまり顔を合わせない後輩だった。

 今日、私は、珍しくVネックのサマーセーターを着ていた。

 首筋から肩にかけてのキスマークも薄れているだろうと、ちょっと大振りのペンダントも着けて、お洒落してみたくなった。

 後輩は、私が座っているベンチに、無遠慮にどかっと座り込んだ。

 はっきり言って、気を悪くした。

 私が立ち上がりかけると、後輩は言った。

「先輩がどうして、暑苦しい服装をしてるかが、分かりました」

「…は?」

 後輩は、自分の首の辺りを指でとんとんと指した。

「見えてますよ」

「え、嘘!?」

 私は思わず首に手をやった。

 聡とはしばらくしていないから、首筋の跡も目立たなくなっているだろうと思っていたのに。

「彼氏さんとの、ラブラブの証拠ですね。僕も、先輩にそんなことしてみたいです」

 後輩は、立ち上がりかけたまま固まっている私の腕を掴み、抱き寄せた。

「ちょっと、何する…」

 抗議する間もなく、後輩の唇が首筋に当たる。

 聡がいつも私にするように、音を立てて吸いつかれる。

 一か所や二か所ではない。何か所も…。

「ああ…」

 聡の唇を思い出して、体が反応しかけたその時だった。

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