好きな人にあげたチョコがまさかの媚薬!弱い所を責められちゃう…… (ページ 2)
(どうしよう……渡しちゃった……)
梶君からは何の意識もされていないことくらいわかっている。
でも、思いがけない目標達成に私は小さく喜ばずにはいられなかった。
それから数時間後。
定時を過ぎた頃、帰り支度を進める私を梶君が呼び止めた。
「梨花ちゃん、ごめんちょっと確認したいことがあるんだけれど……」
どきっと、心臓が止まる勢いではねる。
「え、えっと、な、なに……?」
「ここじゃなんだから、その、資料室来てくれる?」
言い方は柔らかいのに、その眼には有無を言わせない迫力があって、私は「はい」と頷くことしかできなかった。
梶君に続いて資料室へ行くと、梶君は言い辛そうに口を開く。
「あ、あのさ、梨花ちゃんのチョコのことなんだけれど……」
「ご、ごめんなさい!」
「は?」
「あのチョコ、お姉ちゃんの会社の試作品で……! も、もしかしたら身体にどこか不調とか……!」
「お、落ち着いて梨花ちゃん! いや、ぜんぜん元気だけれど、その、元気になりすぎるから、まさかそういう成分が入っているのかなーなんて……」
「え?」
「あぁ、いや……その、女の子に言い辛いんだけれど、男性が元気になるような成分があのチョコに入っているんじゃないかなぁなんて……」
私はテンパる頭で必死に思い出す。
あ、と思い当るそれは
「そのチョコ、惚れ薬入りっていうジョークグッズなんですけれど、……惚れ薬っていうキャッチフレーズの前は媚薬入りっていうテーマだったみたいで……」
――まさか、本当にそういう成分が入っていたなんて!
私は青ざめて
「すみません! 今すぐ回収してきます!」
資料室を後にしようとしたけれど、その手を梶君が掴む。
そして
「んっ……んん!」
私を引き寄せ、唇に噛みつかれた。
「んっ……はぁ……やっぱね……なんつーもん配っちゃうのよ、梨花ちゃん……天然かよ……」
唇を奪われた事に唖然とし、そしてそれ以上に、熱っぽい梶君の視線にどぎまぎする。
はぁとため息をつく梶君は、信じられないくらい、色っぽい。
「チョコは俺が回収しておいた。てか、4個くらい一人で食っちゃった」
「えぇ?」
「で、なんかあっちぃなぁーてか、ムラムラすんなって思って、就業時間まで梨花ちゃんのこと考えてたの! ……ジョークグッズとはいえ、好きな子が媚薬入りのチョコ配りそうになっていたとか笑えないんだけど?」
じろりと睨まれると、何も言えない。
当然、全て私に落ち度があって……と、反省したとき、ふと気になるワードがあったことに気が付く。
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