お母さんなんか大嫌い!―そう言って家を飛び出した家出少女を襲う悲劇

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お母さんなんか大嫌い!―そう言って家を飛び出した家出少女を襲う悲劇 (ページ 1)

「んぐっ…むぐ…」

「なぁ、補導されたくないだろ?大人しく俺の言う事聞けよ」

そう言いながら、その男は少女のスカートの中へと手を忍ばせた。

―――数時間前。

「お母さんなんか大嫌い!こんな家、出て行ってやる!」

「待ちなさい、薫!」

薫と呼ばれた少女は制服姿のまま勢いよく家を飛び出した。

辺りはもう暗く、行く当てがあるワケでもない。

けれど、啖呵を切って出てきた以上、今すぐ戻るという選択肢は選びたくない。

フラフラと地元の駅近くを歩く。

週末という事もあり、仕事終わりのサラリーマン達が居酒屋の客引きに捕まっている。

ボンヤリと眺めていると、薫の前にポケットティッシュが差し出された。

「ネットカフェフラワーです、よろしくお願いしまーす」

同じように客引きをしていた若い男性は、すぐに別の通行人にティッシュを渡しに去る。

裏には割引券が入っていた。

「ネカフェか…」

心許ない財布の中身で一晩の屋根になるならば…と薫は薄暗い建物へと足を踏み入れた。

エレベーターから降りると、思ったより開けっぴろげな入口に出迎えられるが、建物の雰囲気と同じで店の奥はどことなく薄暗くてよく見えない。

「いらっしゃいませ、会員証はお持ちですか?」

「あ、えっと初めてで…泊まる事って出来るんですか?」

胸に『篠田』というバッジを付けた受付の若い男性は、あからさまにおどおどしているその少女を、頭のてっぺんから爪先まで舐め回すように見て、にっこりと笑った。

「では当店のシステムを説明しますね」

受付を済ませた薫は、店内の一番奥のブースでようやく一息ついた。

「狭くて薄暗いけど、漫画もドリンクもシャワーもあってこの値段は悪くないな」

壁の仕切りは薄く、頭上にはその仕切りすらない。

隣近所のブースの人達が動く度に音が聞こえてくるので、自分も注意しなければ。

そう思った時、申し訳程度に付いている扉が急に開いた。

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