発作的な現実逃避先で出会ったコンシェルジュに快感だけの世界に導かれる
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発作的な現実逃避先で出会ったコンシェルジュに快感だけの世界に導かれる (ページ 1)
どうしても、仕事に行くのが嫌で、わたしは会社とは逆方向の電車に乗ってしまった。
発作的な逃避。
どこに行くのかも決めない、あてどない旅。
どこまで行くのか分からない電車は、気づけば海沿いを走っていた。
パソコンや無表情の人ばかりを見ていた目に、爽やかな青色が染みる。
わたしは海に誘われるまま、小さな駅で降りた。
無人駅には寂れた雰囲気が漂っていた。
辛うじて電子マネーは使えるようで安心する。
木造の駅を出ると潮の匂いがした。
目の前には広いだけの道路が真横に伸びている。
見渡すと高台に古い洋館のような建物が見えた。
わたしはとりあえず、一歩を踏み出した。
広い道路を真っ直ぐ歩くと、すぐに海へと続く小道が見つかった。
わたしは弾む足で小道を歩いた。
潮風が強くなって前髪を揺らす。
辿り着いた砂浜には誰もいなかった。
オフシーズンの平日の昼間だから当たり前か。
うれしさと心細さを同時に感じながら、わたしは海を眺めた。
残業や上司の嫌味や同僚の愚痴が、風に乗ってどこかへ飛んでいく。
心が空っぽになって、勝手に涙がこぼれた。
「どこかお加減でも悪いのですか?」
砂浜に立ちつくし泣いていたら、見知らぬ男性が声をかけてきた。
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