先輩、オオカミさんになってください!なんて口では言えないけど飲み会の後に奇跡の展開が?

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先輩、オオカミさんになってください!なんて口では言えないけど飲み会の後に奇跡の展開が? (ページ 1)

今日は大学のサークルの飲み会だった。

全然行きたくなかったけれど、友達に連れられ無理やり参加させられた。だけどそんなもの、どうでもよくなってしまう出来事があった。

開始して一時間くらい経ったころ、向かいの席にずっとずっと想いを寄せている青也先輩がいて、緊張のせいなのか私は自分が今飲んでいるお酒の味もよく分からなくなってきた。なんで先輩はここに座ってきたんだろう。

「ちょっと、澪飲み過ぎじゃない?」

「え?そうかな。あ、ポテトちょっと取ってもらっていい?」

極めていつも通りです、という体で振る舞う。友達に手渡されたポテトの乗った皿からチマチマと摘んでいると青也先輩から声をかけられる。

「それ、俺にもくれへん?」

「え、あ、はい!どうぞ」

柔らかな関西弁の、低くて落ち着く声にビックリして声が裏返りそうになる。

「澪ちゃん、お酒つよいんやなぁ。俺甘い酒しか飲めへんから羨ましいわ」

へにゃりと笑った顔がかっこよくて可愛くて、胸の奥がぎゅんぎゅんする。そして今自分の前に置かれている可愛げのないハイボールに少しだけ恨めしい気持ちになった。もっと可愛いものを飲んでればよかったなぁ……

青也先輩がヒョイとポテトを口に運ぶのを盗み見てしまう。

しかし、そんな私の事に気がついているのか青也先輩は私に視線をやって目を細めて笑う。

私は自分の顔が熱いのはお酒のせいなのか、それとも先輩のせいなのか分からなくて、誤魔化すようにハイボールを一気飲みした。

「おお~、澪ちゃんおとなしそな顔してはるのにカッコエエなぁ」

はははと笑う青也先輩と、隣で慌てる友達。

「ちょ!澪!やめときなって!!」

「大丈夫だよ。ほんと。あ!すみませーん!メガコークハイお願いします!!」

「なんやコークハイて?」

「コーラのハイボールですよ」

「甘いのん?」

「はい。お酒の味がするコーラです」

「ふは!お酒の味のコーラかぁ。そらええなぁ。うまそやわ」

ちょうど隣のテーブルに居た店員さんに声をかけて、おかわりを頼む。

届いたコークハイを見た先輩は「俺にも飲ましてくれへん?」と頼んできたので渡すと、ほんのひとくち飲んだだけで先輩はべーっと舌を出す。

「あかん、こんなんよう飲むなぁ」

お酒が入って少しほっぺが赤い先輩は、いつもより少し幼く見えてかわいくて。

正直そこら辺からもう意識はどこかフワフワしていて、友達の声もお店のさわがしさもどこか遠くに聞こえていたけれど、それでも私はこちらを見ている青也先輩だけはハッキリ見えていた。

ああ、好きだなぁ、と改めて感じた。

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