クールな社長令嬢がライバル会社にスパイに行ったら社長に溺愛されてしまいました！

社長令嬢として完璧主義を貫く理恵は、いつも冷静沈着で誰にも気を許さない。

そんな彼女に課せられたのは、父の会社のために急成長中のライバル会社の社長、裕樹の「弱み」を探ること。

理恵は秘書としてその会社に潜入し働きながら裕樹の裏の顔を探っていた。

けれど、彼女の予想を裏切るように、裕樹は想像以上に裏表がなく熱い人だった。
どんな仕事にも全力で向き合い、部下にも気さくに接する彼は、まるでその場を明るくする太陽みたいな存在。

そして、なぜか理恵に対しても特別に親切で「コーヒーでも飲む？」とよく差し入れをしてきたり、仕事が終わったあとには「わからないことある？大丈夫そう？」と気にかけてくる。

「ありがとうございます。大丈夫ですので」

そう理恵がクールに返しても、裕樹は全くめげない。
むしろ、ますます理恵への興味を隠そうとしない。

ある日、理恵が社長室に書類を渡しに行ったときのことだった。

「理恵さんっていつも冷静だよなー。どうしてそんなに冷静でいられるんだ？」

裕樹は感心したようにそう理恵に問いかける。

「俺すぐ取り乱しちゃうからなー。理恵さんみたいな人がそばにいると、俺も安心して仕事ができて助かるよ。なぁ理恵さん。俺、理恵さんともっと仲良くなりたい」

心臓が少しドキッとするのを感じた理恵は、動揺を隠して

「もう、十分仲良いですよ」

と冷静に返す。
でも、裕樹が見せる熱い眼差しに胸がざわついてしまう。
裕樹の裏表がないそのまっすぐな性格に理恵は惹かれつつあった。

「理恵さん。俺、君の本当の顔が見てみたいんだ」

と、裕樹は熱い眼差しを崩さずじっと理恵をとらえる。
理恵は胸がギュッと締めつけられるような感覚に襲われた。

冷静でいるはずなのに、なぜか裕樹の言葉には心が揺さぶられてしまう。

「本当の私？私はいつもこんな感じですよ」

苦笑し受け流そうとしたら突然手を握られた。