大雨に降られて最悪だ…と思ったのに思わぬ展開に…仕事中でダメだってわかっているのに (ページ 2)
「会が始まるまでこちらのバックヤードでお待ち下さい。狭くてすみません」
一通り設営が終わり、主催者の方からそう告げられた。
そのバックヤードというのがとても小さなスペースで…。
幅が人ひとり分しかない。
「いや〜狭いねこりゃ」
(こんな近い距離で30分も待機なんて私持つのかな…)
「いやほんとっすよね…」
いつもペラペラ喋る啓介くんの口数がなんとなく少ない。
「あれ、電気のスイッチこれで合ってるのかな?」
バックヤードなので少し暗めの明かりにしたいのだが、操作がわからずめちゃくちゃ明るくしてしまったり、はたまた消してしまったり。
「もう〜里香さんほんと機械弱いよね」
そう言って啓介くんが私の肩越しにスイッチをいじる。
「あ…ごめんなさい///」
思いがけず私の手に手を重ねる形になり、啓介くんが恥ずかしそうに手を引っ込める。
「あ、いや、大丈夫大丈夫、、」
ガッシャーーン
動揺して足元のアルミケースを踏んづけてしまった。
「大丈夫すか?笑」
啓介くんがあのいじわるな顔で私の耳元で聞いてきた。
「もしかしてドキドキした?」
気がついたらタメ口で話されているし、彼のペースに飲まれてしまう。
「里香さんってさ、可愛いよね」
そういうと首筋にふーっと息を吹きかけて来た。
「ダメだよ興奮しちゃ?」
そう笑いながら体を離す。
(5個上をからかって楽しいんだか!!)
と少し憤慨しながらも鼓動が早いままだった。
(さっきの声エロかったな…)
セクシーな吐息と共に思い出して少し顔が赤らんでしまう。
*****
ザーーーーーーーー
会の始まりを見届けて一旦会場を後にすると、外は大雨になっていた。
「うわ土砂降りだね…」
会場のあるデパートから駐車場までは一度外を通るのでどう頑張っても濡れてしまう。
「一気に走りましょっか!」
そういうと啓介くんは私の手を取って走りだした。
雨がすごすぎて、手を繋いでいる事にときめく間もなかった。
「ふ〜〜やられましたね……って里香さんそれはちょっとダメだ…」
(???)
と思って車の窓に映る自分を見たら、ブラウスがびしょびしょで下着が透けていた。
しかもよりによって今日は黒い下着。
「待って…俺流石に我慢できないかもしれない…いや、でもその前に体拭きましょうね!風邪引いちゃう」
そういうと啓介くんは大きなバスタオルで私を包んで優しく拭いてくれた。
「戯言だと思って聞き流してくださいね。俺入社した時全然仕事出来なくて、その時親切にしてくれた人がいるんですよ」
肩のあたりを包み込むように拭いてくれる手には少し力が入っているようだった。
「その人はすごい仕事が出来て、みんなからも慕われてて。相手にされるはずもないのに俺好きになっちゃって」
「なのに実はおっちょこちょいな所とかあって、俺の前ではそういうところも見せてくれるから余計好きになっちゃって」
そう言い終わると啓介くんは私の体をくるっと向かせて向かいあうようにした。
「ただ伝えたいだけなんで、潔く振ってください。俺里香さんが好きです」
時が止まった感覚がした。
「嫌だったらまじで避けてください」
そういうと啓介くんは私の肩に手を置き、唇を重ねてきた。
私は…避けなかった。
「…なん…で…?」
避けなかった私を不思議がっているのだろうか。
「なんでそんな幸せそうな顔するんですか。俺まじ止まんなくなりますよ」
そう言うとクチュ…クチュ…っとさっきより深く口付けてきた。
「はぁ…啓介くん…ダメだよこんなとこで…」
そう言いながら私も全く止めさせる気がない。
「ダメとか言いながらそんな顔…ずるいよ…」
「里香さん、車行きましょ」
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