彼の浮気現場をこっそり覗きながら、同時に一人でエクスタシーを感じる狂った私 (ページ 4)

「ごめん、酒が入るとダメなんだよ」

 潤一が言う。やっぱり勃っていないのだ。加奈子はあの体でもお酒には勝てないんだと、ほっとする。

「いいですよー。横になってください」

「ちょ、ちょっと」

 女が潤一を床に倒したようだ。

「うっ…」

 おもむろに咥え、勃起させようと健気に動いているような気配を感じる。加奈子は見たい欲望に襲われていた。自分だけのペニスなのに、こんな風に盗られてしまうなんて思ってもいなかったのだ。

「ぐっ」

 きっと潤一のペニスは少しだけ硬くなっている。どうしよう。本当に二人が合体してしまう!

 気が気じゃないのにそれでも加奈子は指で割れ目をなぞり、時々指先をにゅるっと膣口へ滑り込ませてしまう。

 女が勝ち誇ったように言った。

「私が上になります」

 加奈子は指でクリトリスをこねくり回し、潤一の愛撫を思い出しながら乳首を尖らせていた。

「あぁん、うぅーん」

 ついに二人が繋がった。加奈子は思わず四つん這いのまま、ドアを少しだけ開けた。

「あぁぁん」

 女が艶めかしい声を出し、上半身裸で潤一の上で気持ちよさそうに腰を振っている。はぁはぁと言いながら動く姿は、肉厚的で女性から見てもいやらしい。

 なんということだろう。自分の彼氏が他の女に乗られて苦悶の表情を浮かべている。それなのに、加奈子は一番早くイキそうになっている。

 涙が出そうなほど悔しいのに、加奈子の指はクリトリスの刺激をやめられない。もっと早く腰を振ればいいのにと、女に余計なことまで言いたくなっている。

 不思議な感覚だった。

 そして、その扉の隙間から、加奈子は潤一と目が合うようにじっと視線を投げかけていた。

「あっ、それ、いいっ、あー」

 女が顎を上げ、自分の絶頂のタイミングを調整していた。加奈子のパンティーの中も大洪水でびちゃびちゃと音を出している。

 早く、早くイってよ、早く!

 潤一の射精感も限界なのだろう。後輩の腰に手を回し、乳房を舐めながら戦っていた。

 その時、加奈子は潤一と一瞬目が合った。

「あっ!」

 二人が同時に果てたのは、視線が絡み合った直後だった。加奈子は慌ててドアの後ろに隠れた。

 味わったことのないエクスタシーと、緊張感とで息が出来ない。潤一が加奈子のところへ来るかと思ったけれど、潤一もそれどころじゃないのだろう。

「あー、先輩、こんなに出して!」

 慌ててティッシュで後始末をする女の声がする。

 潤一はきっちりと果てたようだけれど、この状況をどう処理していいのか加奈子はとても考えられる状態ではなかった。

 ひくつく陰部が、感じたことのない興奮の余韻を表している。人のセックスを覗く快感は、加奈子に強烈な快感を与えてしまった。

 この感情をどうすればいいのだろう。

 潤一がどういう態度に出るのかもわからない。ただ、怒りよりも興奮を抑えられなかったことが加奈子を複雑な気分にしていた。

 覗く快感。
 
 AVで見ていたのは覗かれる方ばかりだったけれど、覗くという行為がこんなにも発情することに驚いた。

 もう一度、見たい…。

 大きく染みが付いたパンティーを履きなおす。ティッシュで指先を拭きながら、加奈子は大きく息を吐いた。

-FIN-

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