行きつけのバーの綺麗なオネエ店長が、実は狼だったなんて聞いてない。
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行きつけのバーの綺麗なオネエ店長が、実は狼だったなんて聞いてない。 (ページ 1)
「唯奈、男は狼だって言ってるでしょ?」
女性的な柔和な口調なのに、唯奈に突き刺さる視線はまるで獲物を狙う肉食そのもので唯奈は困惑して視線を彷徨わせる。いつもの口調なのにどこか冷たい声色にオロオロとしているとムダ毛一つない綺麗な指先が唯奈の頬をそっと撫でる。そのまま顔の輪郭をなぞっていた指が、ゆっくりと顎先に触れ、固定するように摘ままれる。
「い…樹さん」
「唯奈がいけないのよ?」
影が降って来て、唯奈は反射的に目を瞑る。唇に柔らかな感触がすると同時に甘いバニラの匂いが立ち込める。何度も角度を変え、啄んでくる唇から伝わる熱にだんだんと思考が惚けて、唇が緩んでいく。その隙を見逃さなかった彼の舌が唯奈の唇の中に侵入する。ぬるりと上顎の敏感な部分を舌先がなぞり、慈しむように舌を包み込まれると背中からぞくぞくと快感が競り上がってくる。
「ぁ…んっ、ぅ…樹さん…んっ、んむっ」
舌がジンッと甘く痺れるほどキスをされ、ようやっと唇が離れていく。唯奈のぼんやりとした視界とかち合った樹の目にはキスだけでうっとりと欲情しきった自分の顔が映っていて、唯奈は恥ずかしくなってそっと視線を逸らした。
「樹さんっ…あの…どう、して」
唯奈の問いに頬から首筋へと指先を移動していた樹の手が止まる。唯奈の疑問は最もだろう。何故なら樹は所謂【オネエ】であり、恋愛対象は男性であると本人も口にしていた。だから唯奈は彼が自分をそういう対象として見下ろして、あまつさえ触れている理由が全然理解できなかった。
「どうしてって、そりゃ自分の好きな子が隙だらけでしかも知らない男に持っていかれそうになったら嫉妬しちゃうでしょ?」
「や、え、でもだって、樹さんの恋愛対象は…」
「あー…お店では面倒だからゲイで通してるけど、私、バイなんだよね」
だから恋愛対象はどっちも含まれていて、今狙ってるのは唯奈のことだよといつも聞くより少し低い声で言われて、唯奈は胸がドキリと音をたてた。初めて、樹の店に行ったときから唯奈は樹のファンだった。ゲイだと聞かされていたから恋愛に発展することは諦めていたけどせめて友人になりたくてほぼ毎日のように店に通った。その結果今ではプライベートな連絡も取る女友達のような感覚で樹と関われるほどになったからもうそれで満足だと思っていた。
「わ、私…凄く、酔っぱらってる??夢?」
「んふふっ、夢かどうかは…これから確かめてみたら?」
「んっ、んんっ…ぁ、ふっ…っぁ」
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