資産家の御曹司で鉄面皮の夫には、私しか知らない秘密があって… (ページ 3)
「野菜の切り方が下品ね」
またいつもの朝食の風景。
夫の父の後妻で、50を過ぎていながら露出の多い服を着て自分の体を見せびらかす、女臭のキツイ姑。その向かいで、仏頂面で新聞を読む夫・瑞樹。私は地味なブラウスとスカートにエプロンをつけ、下僕のように動き回り、給仕をする。
「瑞樹さん、コーヒーはいかがですか」
「もらおう」
瑞樹は正に大企業のトップにして旧家の御曹司たる風格で、軽く頷いた。男の姿の時は、切れ長の目が更に鋭利に光り、隙のない冷酷な人間のように見える。でも、私だけが知るこのギャップがまた、いいのだ。
「ちょっと、スープがぬるいじゃないの」
姑が金切り声を上げると、秘書の谷田部が家族でもないのに図々しく入ってくるなり、姑の背後に座った。
「朝からそんなに怒ると、シワが増えるよ」
深く開いたVネックから奥へと淀みない仕草で手を滑り込ませ、谷田部は姑のはち切れんばかりの大きな乳房を揉みしだいた。姑がテーブルの下でだらしなく膝を開いている。やる気満々だ。
「んん、もぉぅ、仕方のない子ねぇ…」
その鼻にかかった声を聞けば、すでに姑がアソコをグジュグジュにしているのがよくわかる。
「おいでよ」
谷田部は瑞樹の存在がまるで目に入っていないかのように、姑をバルコニーへと連れ出した。
「あんっ、ああんっ、いいわ、いいのよ、ああ、もっとぉぉ…」
ダイニングから丸見えの場所で、姑はもう谷田部に後ろから犯されて悦んでいる。完全に、瑞樹を無視し、いや、追い出しにかかっているのだ。
ま、それも明日の取締役会までの命だ。せいぜい楽しむがいい。
淡々とオムレツを頬張っていた瑞樹が、興味を失ったように新聞をテーブルに放り出した。
オムレツのケチャップが瑞樹の口を赤く染めている。それだけでも、あの淑女を思わせて私はジュンとしてしまう。
「口紅みたいで可愛すぎるよ、欲しくなるじゃないか」
耳元で囁きながら、私は薬指でそのケチャップを拭ってやると、瑞樹は耳まで赤く染めて俯いてしまった。
「大丈夫、あんなババアの痴態、明日には見なくて済むようになるから」
「ああ…真琴、大好き」
「知ってる」
私は瑞樹の耳元をペロリと舐めた。
「あ…今日は会議で遅くなる」
悶えたと思ったら、またすぐに瑞樹は能面のような整い過ぎた表情に戻った。
「だから…夜」
「わかってる。君によく似合うドレスを見つけてあるから…」
「うん」
ポーカーフェイスの合間に、ほんの一瞬だけ、そう嬉しそうに頬を染めて答える瑞樹が愛しくて、私は彼を強く抱きしめた。
コメント (0)