処女を捧げたバンドマンのテクニックが体に刻まれてしまった私。私の体が禁断症状を起こす。
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処女を捧げたバンドマンのテクニックが体に刻まれてしまった私。私の体が禁断症状を起こす。 (ページ 1)
萌香は子供の頃から、両親の影響で洋楽を聞いて育った。おかげで、ジャンルを問わず音楽は聴くし、英語は一番好きな科目だ。
バンドを組みたいと思ったこともあるが、好きと得意は全く違う。歌も楽器もまるで苦手なので、夢になることもなかった。
そんな萌香は男性と付き合った経験はあるけれど、セックスまではたどり着かず処女のまま大学三年生になった。
初体験を済ませた友人の話を聞いて、自分の初体験を妄想する。性への興味は普通だったと思う。
そんな平凡な大学生活が始まり、萌香はコンビニでアルバイトを始めた。接客は好きだし、シフトも自由がきく。
そのバイト初日、店長とバックルームで話していると、ブーツを履き、ユニオンジャックのTシャツ、髪は金髪で大きなヘッドホンを首にかけて出勤してきた男性がいた。
「おはようございます。あ、新しいバイトですか?俺、碧人です。よろしくね」
「よろしくお願いします」
明るく愛想のいいお兄さん。それが碧人の第一印象だった。
「あ、彼ね、見た目はあんな感じだけど、真面目でいいやつだから。萌香ちゃんも可愛がってくれると思うよ」
「バンドされてるんですか?」
「そうそう、この辺では有名だよ。よくファンも買い物に来るしね」
「そうなんですか」
店長が碧人を信頼していることは萌香にも伝わった。
真面目なバンドマンという響きが、萌香をほんの少しドキッとさせる。
緊張する萌香に笑顔で指導する碧人は、想像以上に陽気だ。コンビニの制服もしっくりきて、店長が言っていた真面目という表現もよくわかる。
二十五歳だと聞いたが、童顔のせいか大学生でも通じるなと思った。
「萌香ちゃんか、可愛い名前だよね」
「ありがとうございます」
「萌香ちゃん、音楽は好き?いつもどんなジャンルを聞いてるの?」
「両親の影響で洋楽が大好きなんです」
「えー、珍しいね」
「碧人さんはボーカルですか?」
「あー、バンドね。店長から聞いたの?ボーカルじゃないよ。ギター担当」
「はい、聞きました。人気のバンドだって。ギターなんですね」
「今度、友達誘ってライブに来てよ」
「行きます!絶対!」
そんな萌香の返事を、碧人は特に気にもしていなかっただろう。大学生の子供を真剣に相手するはずがない。
ただ萌香は、初日の五時間ですっかり碧人の魅力にはまった。一目惚れではないけれど、年上のバンドマンの魅力は刺激的で、バイト生活が楽しい時間になることは確定したからだ。
*****
それから萌香は碧人とのシフトを待ち焦がれるようになった。それは萌香の気持ちが恋心に変わり始めたという意味でもある。
初体験の相手が碧人みたいな年上の人がいいなという淡い期待、それは日に日に強くなっていた。
碧人のバンドのCDは何度も聞いていたし、スタジオの前まで行ったこともある。
碧人はなんでもあっけらかんと萌香に話していた。恋愛対象ではなく、可愛い妹の感覚だろう。それでも萌香は碧人との何気ないお喋りが好きだった。
店長がいうように、碧人はわりと知られているバンドメンバーで、碧人目当ての客を何人か見たこともある。
「あの、今日は碧人君バイト入ってませんか?」
黒髪のストレートのロングヘア、明らかに触り心地のよさそうな胸を強調するノースリーブのワンピース。左手の薬指に細いリングを光らせている女性。
萌香からすると、張り合えるわけもない大人の女性。碧人のファンは、萌香とは正反対のこんなタイプの女性が多いことにも気付いていた。
翌日、碧人に昨日の来客の話をする。
「誰かな?」
そう言って、碧人は話題を変えるかのように萌香にライブのチケットを渡した。
「萌香ちゃん、夏休みでしょ?来れる?」
「いいんですか!」
二週間後の金曜日午後七時からのライブのチケットだった。
「特別なライブだからさ、来て欲しくて。萌香ちゃんに」
「…はい」
碧人のテリトリーに入れてもらった気がして、萌香はすっかり舞い上がった。もしかしたら、碧人は萌香を女として見ているのかもしれない。
友人は能天気な萌香に笑いが止まらないようだったが、報告を楽しみに待っていると励まされ、色々なパターンを一緒に考えてくれた。
処女は碧人さんに捧げたい。
それが萌香の明確な夢になった。
ライブ当日、萌香は両親に遅くなったら友人宅に泊まると言って家を出た。
電車で一時間ほどのライブハウス。萌香が六時前に到着したときには、すでに入口には行列ができていた。
久しぶりのライブと、ギターを弾く碧人を見る興奮で、萌香も落ち着かない。何度もドリンクを飲んでは深呼吸をしながら、ライブのスタートを待った。
萌香はギターの碧人がはっきりと見える位置にいた。ライブ中に笑顔の碧人は封印されているのか、クールな姿にドキドキしてしまう。
「俺たち、結成して五年目を迎えました!ありがとう!」
ボーカルが叫ぶとファンのボルテージも最高潮と化す。萌香も一時間半ほどのライブに熱狂し、声もかすれていた。
何より、ステージ上の碧人と何度か視線を交わしたことで、正気を失った。
その余韻がしばらく続き動けない。帰る前にお礼を直接碧人に言いたいが、出待ちのファンもいたりしてして、萌香はおとなしく帰るつもりでいた。
友人に報告しようと携帯電話を取り出す。
その時、碧人からショートメッセージが届いた。
「メンバーと打ち上げがあるから萌香ちゃんも来る?」
夜の九時を過ぎていたが、萌香にはもう帰る気がなくなった。打ち上げという響きが、いやらしい大人の世界のように聞こえる。
なぜ碧人が萌香を誘ったのかは心当たりが全くなかったが、この特別感に慣れていない萌香には断り方がわからなかった。
「行きます!」
軽い返事を送信して、足早に指定されたバーへ向かった。
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