あたしには、大好きな彼氏がいる。でも、彼は今大人気の若手俳優で…
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あたしには、大好きな彼氏がいる。でも、彼は今大人気の若手俳優で… (ページ 1)
「幸樹くんってほんとカッコイイよね~!」
「ね!ガチ恋しちゃいそ~!」
本屋で、可愛い女子校生二人がメンズ雑誌を見ながらきゃあきゃあ言っている。
あたしはそれを横目に、ずらっと並べられたメンズ雑誌を手に取った。
そこに映るのは、今注目の若手俳優、幸樹。
あたしの彼氏だ。
あたしと幸樹の出会いは、高校生の頃。
演劇部に入ったのがきっかけで話すようになった。
当時はどちらかと言うと地味なタイプの幸樹だったけど、演技に対する情熱は人一倍で、あたしはそんな彼のことが好きだった。
卒業と同時に付き合うようになって、幸樹は劇団に入団、あたしは大学に進学。
それぞれの道を歩むようになっても、あたしたちはうまくやっていた。
でも、ちょうどあたしが大学を卒業した昨年のこと。
あるドラマに出演した幸樹は、ちょい役だったにも関わらずネットで話題になって、大ブレイク。
それ以降、テレビに雑誌に引っ張りだこで、デートはほとんどできなくなった。
あたしはあたしで都内の会社に就職し、慣れない仕事に大忙し。
瞬く間に一年が経った。
最後に電話したのがいつだったかも思い出せない。
もしかしてこれが、自然消滅ってやつ…?
それに、今や華やかな世界で活躍する幸樹と、しがないOLのあたし。
どう考えても、釣り合ってなさすぎる。
あたしは暗い気持ちで雑誌を売場に戻し、本屋を後にした。
とぼとぼと路地を歩きながらアパートに帰っていた時だった。
「結月」
名前を呼ばれてる振り返ると、彼がいた。
「え、嘘…幸樹…?」
「結月、久しぶり。会いたかった」
幸樹は黒い帽子を目深に被りながら、ほっと安心した笑みを浮かべた。
ぎゅっと抱き締められ、キスまでされてさすがに焦る。
「ま、待って待って!こんなところ見られたら…!」
「大丈夫だよ。誰もいないし」
確かに今は誰もいないように見えるけれど、いつ誰が通りかかるかわからない。
そもそも幸樹は大人気俳優なんだから、見えないところに記者が潜んでいるかもしれない。
「だ、だめだよ。あたしなんかと一緒にいるところを見られたら…」
「なんかって、何?結月は俺の大切な彼女でしょ?」
幸樹はむっとした様子で、あたしの手を引いた。
「幸樹?どこに行くの?」
「ホテル」
「え?」
ラブホに着いた途端、幸樹はあたしをベッドに押し倒した。
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