酔った私にやきもちを妬いた彼、いつもは優しいのに今日はなんだか様子が違う!?

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酔った私にやきもちを妬いた彼、いつもは優しいのに今日はなんだか様子が違う!? (ページ 1)

「はぁ〜〜、今日はいっぱい飲んだなあ」

「あはは、本当に。瑠璃ってあんなにいっぱい飲めるんだね」

私は恋人である悠人と一緒にゼミの打ち上げに参加をしていた。
ついこの間お酒が飲めるようになったということもあり、メンバーたちが次々とお酒を注ぎにきて、その度に全てを飲み干してと繰り返しているうちに、気がつけば周りのメンバーは一滴も飲まなかった悠人を除いて全員が伸びていたのだった。

全員を潰したとはいえ、私の足取りはあまり良いとは言い難い。立ち上がればふらふらと頭が揺れ、二歩も歩けば千鳥足になってしまう。そんな私の手を引いて、今日はもう帰ろうかと悠人は声をかけてくれたのだった。

おぼつかない足取りの私を悠人は嫌な顔ひとつせず手を引いてくれる。いわゆる草食系と言われるタイプの彼ではあったが、私は彼のそんな優しい姿が好きになったのだ。暖かな手が愛おしかった。

「ねえ、瑠璃。ちょっとだけ寄ってもいい?」

「うん?どこに?いいよ、もしかしてもう一軒行ったりするの?」

だから、悠人の提案は細かいことはわからなくても頷いてみせる。大好きな彼が行きたいところは私の行きたいところなのだから。

悠人に連れられて足を進めているうちに、次第にあたりの景色がなんとも煌びやかになってきたのを感じる。ギラギラと光る看板に、あちこちに見える 休憩、宿泊 の文字。
もしかして、ラブホテルに行こうとしてるのかな。
そう思った途端、心臓がドキドキと張り裂けそうな感覚に襲われた。

私の考えはまさにその通りだったようで小綺麗なラブホテルへと連れられる。パネルを押す辿々しい手つきが、彼がこう言った場に慣れていないのだとわかって愛おしさが増してしまう。

「えと、301号室…。あっ、こっち下りのエレベーターだ。上りは…こっちかな」

慣れない空間で落ち着かないのだろうか、悠人の独り言が可愛くて仕方がない。やはり私の足取りはお世辞にも安定しているとは言い難く、甘えを全面に押し出すように悠人の腕に腕を絡め、ぴっとりと密着した。

「瑠璃…?もう、本当に酔ってるなあ…」

「えへへ、いいでしょ?悠人しか見てないんだし」

笑顔を見せる私に、悠人はどこかギラリとした視線を向ける。男の、というよりはまるで雄のそれ。
そんな瞳を前に、私はゴクリと喉を鳴らすことしかできなかった。

*****

部屋に着くや否や、悠人は私をベッドへと少し強引に連れて行く。それでも痛みを感じさせないのは悠人の優しさなのだろうか。
シャワー浴びよ、と声を出すよりも前にベッドに体を押し付けられて、私は簡単に身動きが取れなくなってしまった。

「悠人?あの…、ど、どうしたの?何か怒ってる?」

先ほどまでは微塵も感じることのなかった、悠人の静かな怒り。いや、怒りというには激しさが足りない気がする。

「怒ってるよ。瑠璃、酔った君がそんなに無防備だなんて思わなかった」

ムッと眉を寄せる悠人。口では怒っていると言ってはいるが、その内容はまるでヤキモチで。

「ねえ、どんな顔してるか知ってる?顔は赤くて目はトロッとして、服だって熱いって言ってボタンを二つも外したままだ。そんな顔でみんなの前で飲んで、うちは男が多いって分かってるよね?」

悠人はきっと怒ってる。怒っているのだろうが、私の胸はキュンキュンと高鳴ってばかりいる。
だって、あの悠人がやきもちを妬いてくれたのだから。

「だから、これはお仕置き。もう他の人の前で飲まないで」

そう告げる悠人の唇が私の唇にそっと触れる。これはお仕置きというよりは、ご褒美に近いんじゃないかな、なんてことを考える余裕が私にも多少はあったようだ。

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